「通信分野のさらなる競争促進と,高速ネットワーク整備の支援策を」--。政府のIT戦略本部(高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部,本部長:小泉純一郎首相)が5月9日にまとめた「e-Japan重点計画」の改定案では,国の通信インフラの整備を,民間の競争促進と国の支援策の両面に託すという考え方がより鮮明になった。

 e-Japan重点計画は,高速インターネットやIT技術の普及促進を狙ってIT戦略会議(当時)が2001年3月に策定した。今回が初めての改定で,五つの重点分野と317の施策項目を掲げている。その重点分野の一つである「世界最高水準の高度ネットワークの形成」に関しては,(1)第一種と第二種に分けられた通信事業の区分を見直し,インターネット時代にふさわしい制度を検討する,(2)NTT東西地域会社が独占している市内電話網で,基本料金部分の卸し売りを義務付ける「公衆網再販制度」の導入を検討,(3)通信分野で十分な競争の進展がない場合,NTTのあり方などを抜本的に見直す--などの制度改革策を盛り込んだ。これらの施策は既に総務省の研究会や情報通信審議会などで検討に入っているが,e-Japan重点計画に新たに盛り込むことで政府が重要課題として取り組む姿勢を見せた。

 一方,ネットワークの整備支援策としては,(1)超高速の地域公共ネットワークの全国普及に向けて地方自治体への補助金支給などの支援を行う,(2)国が保有するダーク・ファイバを開放する,(3)地方公共団体が保有するダーク・ファイバの開放を促進するため,標準的な手続き方法を策定する--などを盛り込んだ。このうち国道や河川沿いのダーク・ファイバ開放は先ごろ国土交通省が打ち出したが,ほかにも農林水産省などが保有ファイバの開放の検討を進めているという。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)