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 日立グループの通信機メーカーであるナカヨ通信機は10月1日,上りと下りの双方向で最大40Mビット/秒の通信が可能なVDSL(very high bit rate digital subscriber line)装置「NYC VDSL システム」を発表した。幕張メッセで開催中の展示会「CEATEC JAPAN 2002」で展示している。出荷開始は11月1日。価格は局側装置が23万円,ユーザー宅内装置が3万1500円。

 双方向で最大40Mビット/秒の伝送速度を実現できる伝送装置は初めて。これまでは,NECや住友電工ネットワークスが発表済みの片方向で最大50M~60Mビット/秒を実現できる製品が最も高速だった。ナカヨ通信機のVDSL装置は,最大伝送速度は40Mビット/秒または最大15Mビット/秒を,いずれも双方向で設定できる。伝送距離は,最大40Mビット/秒に設定した場合で約400m,最大15Mビット/秒に設定した場合で約1kmとなる。

 局側装置は,最大8ポートの電話回線を収容できる。WAN側の接続インタフェースとして,ダイヤルアップ接続を想定した電話回線インタフェースを8ポートと,ADSL(asymmetric digital subscriber line)モデムなどブロードバンド回線との接続を想定した10BASE-T/100BASE-TX自動認識対応のLANインタフェースを4ポート備える。

 VDSLのチップセットは,独インフィニオン・テクノロジーズが2月28日に発表した「4バンドVDSL」を搭載。ITU-T勧告G.993.1に準拠し,変調方式はQAM(quadrature amplitude modulation)方式を採用している。同じチップセットを搭載したVDSL装置は,安藤電気が試作機を発表済み。

 既存の電話回線を利用できるVDSL装置は,LANケーブルや光ファイバの敷設が困難な集合住宅,ホテル,既存のテナント・ビルなどで導入が進んでいる。これまでナカヨ通信機は,これら市場に向けて電話回線を使った家庭向け通信規格HomePNAに準拠した伝送装置を提供してきた。しかし,ナカヨ通信機が現在製品化しているHomePNA ver2.0は,伝送速度が最大10Mビット/秒。ADSLの高速化などWAN側のブロードバンド化が進んでいる現状もあって,VDSLの数10Mビット/秒に比べて大きく見劣りしていた。

 HomePNAについては,9月に標準化がまとまった最新版のHomePNA ver3.0で,最大128Mビット/秒の伝送速度を実現する。しかし,標準化作業が完了したばかりで,HomePNA ver3.0に対応するチップセットが登場するのは2003年春ごろと見られている。このため,コスト面を含めた製品化の見極めには時間がかかってしまうこともあって,ナカヨ通信機は,現状のHomePNAよりも高速化できるVDSL装置の製品化に踏み切った。