KDDIは10月16日,個人向けのIP電話サービスを12月から始めると発表した。当初はモニター数千人を対象に試験し,2003年春に商用化する予定。7月から試験中の法人向けサービス「KDDIインターネット IPフォンサービス」については,11月1日に本格サービスへ移行させる。
個人向けと法人向けのIP電話サービスはいずれも,ADSL(asymmetric digital subscriber line)などインターネット常時接続サービスの付加メニューという位置付けである。利用可能なサービスは当面,NTT加入電話への発信と,IP電話同士の通話だけ。携帯電話やPHSとの通話,110番などの緊急通報,「0120」などの特番通話はできない。
加入電話への通話料は,法人向けサービスは試験と同じく全国一律3分8.5円。個人向けサービスについては12月の試験開始時に公表するが,「法人と同じ3分8.5円程度になりそうだ」(KDDIの小野寺正社長)。
KDDIのIP電話ユーザー同士の通話料は無料とする。加えて現在,KDDIとNEC,日本テレコム,松下電器産業が幹事会社を務めるプロバイダ連合「メガコンソーシアム」においても,各社の提供するIP電話サービスの相互接続を検討中。「少なくとも4社の間では無料通話を実現したい」(小野寺社長)考えだ。
KDDIは将来的には加入電話からIP電話への着信も可能にする方針で,「050」で始まるIP電話用番号を総務省へ申請済み。ただし,NTT加入電話から050系番号で着信するためには,NTT東西地域会社による電話交換機の改造を待つ必要がある。東西NTTの対応作業が終わるのは早くても2003年夏ころになる見通しだが,小野寺社長は「技術的というより制度的な課題がまだまだ多い。交換機改造費をNTTとIP電話事業者との間でどう分担するかといった協議もこれからだ」と,サービスの実現時期が依然として不透明であるとの見方を示した。