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 松下通信工業は,北京で開催中の展示会「PT/EXPO COMM CHINA2002」(EXPO COMM)で,10月末から中国移動通信(チャイナ・モバイル)向けに出荷を始めた携帯電話機の新製品を3機種披露した。いずれも欧州規格のGSM方式に準拠している。中国市場での巻き返しを図る戦略商品だ。新製品を欧州と同時期に中国市場に投入したのは,松下通信工業にとって初めてのことだ。

 3つの新製品は,(1)デジタルカメラを装備した高機能な折りたたみ型端末「GD88」(写真上),(2)普及価格帯のカラー液晶を搭載したストレート型端末「GD68」,(3)手のひらに収まる超小型端末「GD55」(写真中)--と,それぞれ明確な個性を持つ。特にGD88は,「日本市場で培った,きめ細かな技術ノウハウを生かした製品」(松下通信工業モバイルコミュニケーションカンパニーの森岡文六取締役海外モバイルターミナル事業部長,写真下)と自信を見せる意欲作である。

 GD88は実売価格が6000元(約9万円)前後と高価だが,GD88で技術優位性をアピールしてブランド力を高め,残る2機種でより多くのユーザーを獲得する狙いがある。中国での携帯電話機の普及価格帯は1000~1500元だが,「魅力的な新製品なら,6000元でも売れる。この値段でも購入するユーザーの数は,日本よりはるかに多い」(森岡取締役)という。

 中国市場では,米モトローラとノキア(フィンランド),独シーメンスの3社で6割前後のシェアを持つ。中国は日本とは違い,携帯電話事業者がベンダーから端末を買い上げるのではなく,ベンダーが自ら現地の販売代理店と契約するなどして流通網を確保する必要がある。こうした商習慣の違いや通信方式の違いが,松下通信工業をはじめ日本のベンダーが苦戦してきた理由だという。

 さらに,松下通信工業は2001年の一時期,中国政府から端末販売の停止を求められた苦い経験がある。当時発売していた端末が,台湾を「ROC」(Republic of China:中華民国)と表示する機能を装備していたためだ。端末をすべて回収したため,2001年8月末から約2カ月間,松下通信工業の販売台数はゼロになった。

 それだけに,今回の3製品にかける松下通信工業の思いは強い。中国での携帯電話機の開発・販売体制を抜本的に見直すとともに,中国の人気ミュージシャンを採用したテレビ広告など,約10億円をかけて大々的な広告活動を開始した。「まず中国で成功したい。そうすれば,他のアジア諸国でも高いシェアを獲得するきっかけになる」と森岡取締役は意気込む。