ADSL(asymmetric digital subscriber line)などの干渉問題について議論する総務省のDSL作業班は4月22日,最終となる10回目の会合を開催した。8時間に及ぶ議論を経て,ようやく干渉を抑制するための「スペクトル管理標準」の大枠となる基本ルールがまとまった。
基本ルールでは,情報通信技術委員会(TTC)が制定したスペクトル管理標準「JJ-100.01」を改良したモデルで計算する。10回目の会合では,参加者がこのモデルで各技術の干渉度を計算した数値を提出した。この計算値では,ソフトバンクBBなどが12メガADSLサービスで活用する「オーバーラップ」と呼ぶ方式が,他の回線に対して算出した基準値以上に影響を与えるという結果が出た。
もっとも,各社の12メガADSL技術が制限を受けるかどうかは決まっていない。今回合意した新ルールでは,利用者数が多い技術の場合に緩和策を加えたからだ。「デルタ」と呼ぶ緩和の範囲を設定し,計算上は基準値よりも干渉が大きい技術でも,デルタ以内なら制限を付けない。距離制限や太束ケーブル内の収容制限がなければ,普及しやすくなるというメリットがある。ただし,デルタの値は決まっておらず,今後ADSL事業者同士の協議やTTCで決める予定。
DSL作業班の上位部会「情報通信審議会 事業用電気通信設備等委員会」は,5月2日にもDSL作業班の結論を審議する予定。その後,5月中旬にも報告書案として公表し,パブリックコメントを募集する。6月中には最終報告書が出て,TTCでの具体的なルール化が始まる見通しである。