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 NTT(持ち株会社)は5月13日,2002年度(2003年3月期)の連結決算を発表した。固定通信サービスが減った一方で,人員の削減などコスト削減効果が上がり,減収増益の結果となった。NTTが前期比で減収となるのは初めて。

 連結の総売上高である営業収益は10兆9231億円。前年同期に比べて0.9%,金額にして1046億円減少した。これに対し,営業利益は前年同期に比べて1兆3020億円増の1兆3636億円。営業利益から法人税や投資による損失を除いた純利益は,2001年度の8347億円の赤字から1兆680億円増えて2334億円の黒字となった。2001年度に大幅な赤字を出したのは,グループ各社が人員削減を柱とする構造改革の費用を計上したため。今期はそうした大きな減収要因がなく,リストラも一段落したため,大幅に利益が増えた格好となった。

 グループ会社の決算としては,NTT東西地域会社とNTTコミュニケーションズ(NTTコム)の固定系3社の収入減が目立った。音声系サービスの売り上げが急激に落ち込んだが,IP系サービスの売り上げ増が追いつかなかった。具体的には,NTT東日本が2214億円,NTT西日本が1916億円,NTTコムが1230億円の減収となった。一方,NTTドコモは1498億円,NTTデータは301億円,それぞれ増収となった。

 純利益は前期に大幅な人員削減を済ませ,さらに今期に資産の売却や組織の構造の見直しをすすめた結果,各社とも大幅に回復した。NTT東は前期1867億円の赤字から30億円に黒字化。NTT西は前期3553億円の赤字から193億円として,発足以来初の黒字化を達成した。NTTコムは前期は米ベリオ社への投資の影響で4107億円の赤字であったが,今期は136億円まで回復した。

 今後の見通しは厳しい。NTTドコモは携帯電話加入者の頭打ちによって,売り上げが2ケタ増から1ケタ増にスローダウン。iモードの普及によって音声通話が減り,一人あたりの利用料金は毎年目減りしている。iモードの増収分では,穴埋めできていない。また,東西NTT,NTTコムの各社社長とも,「音声系サービスの売り上げ減を,IP系のサービスで補えるようになるのはいつ頃か」という質問に対して,明確に答えを出せなかった。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)