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 「需給バランスがゼロになればひと安心という雰囲気の報道があるが,そんなことはない。予想最高需要の6450万kWを若干上回ってはじめて,安定供給だといえる」--(KDDIの渡部弘志建設・運用統括本部ネットワークオペレーションセンター・インフラグループ課長:写真上)。

 固定通信サービスと携帯電話サービスの両方を提供する国内唯一の通信会社であるKDDI(写真下)。今回の電力危機問題への対策には,4月から全社的に取り組んできた。7月13日と22日に1機ずつ原子力発電所が再稼働したものの,KDDIはまだ警戒態勢を緩めてはいない。

 KDDIは停電対策として,普段から主要な通信施設には自家用発電機と無停電電源装置(UPS)を,携帯電話サービス向けの無線基地局には予備バッテリーを装備してある。こうした点は,東西NTTやNTTドコモなどと同じだ。

 今回の電力危機問題を受け,発電機とUPSに負荷をかけて試運転させる点検作業を6月末までに完了。具体的には,擬似的に停電を起こし,きちんと発電機とUPSが連携して動くかどうかを確認した。この作業は通常,年に1回実施するもの。今年はふだんよりも計画を前倒しした。

 点検後は,発電機の燃料を満タンした。これで24時間は動く。さらに万が一に備え,「複数の燃料供給会社と優先契約を結び,確実に燃料を補給できる体制を整えた」(KDDIの長江喜久設備運用統括本部運用管理部統括グループ課長:写真上)。重要施設向けには48時間分の燃料を調達できるようになっている。

 KDDIが万全を期す背景には,「停電が限られた地域でしか起こらなくても,通信施設が止まれば,影響は全国に及ぶ可能性がある」(渡部課長)からだ。同社の小野寺正社長は「通信事業者の社会的責任として,最大限の努力をしろ」という指示を,社内に出している。

 また,無線基地局の予備バッテリをフル充電し,能力を100%発揮できる状態にした。これで,3時間程度までは予備バッテリだけで基地局は動く。停電が長期化した場合は,50台弱ある移動電源車両や可搬型発電機を使う。「基地局は数が多いのですべてはカバーできないが,電源車両や保守要員をあらかじめ効率よく配置。どこで停電が起こっても駆けつけやすい体制にしてある」(渡辺課長)。