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 東西NTTが10月にも始める企業向けIP電話サービスの詳細が明らかになった。法人向けIP電話網は県ごとに構築,県内のユーザー拠点同士の通話は定額になる。県をまたぐ通話は,従来の加入電話網を使った従量制となる。開始当初は,東京23区と大阪市でサービスを提供する。

 着信転送やダイヤルインなどのPBX機能をIP網側で提供する「IPセントレックス」は,オプション扱いになる。標準サービスでは,既存の電話機をPBXにつなぎこみ,VoIP(voice over IP)ゲートウエイを介してIP電話網に接続する形態になる。呼制御にはSIP(session initiation protocol)を使う。110や119などの緊急電話への発信はできない。東京23区で「03-xxxx-xxxx」,大阪市で「06-xxxx-xxxx」といった既存の加入電話番号を使って着信できるものの,加入電話網が持つキャッチホンなどの付加機能は使えない。

 アクセス回線は,100Mビット/秒で帯域保証型のイーサネット系サービスに限定する。東西NTTでは,NTT東日本の「メトロイーサ」とNTT西日本の「アーバンイーサ」が対象。他事業者から光ファイバを調達するケースもある。1回線当たり,600チャネル相当までの通話を収容できる。

 東西NTTの県間進出は認られており,県をまたいだサービスも提供できる。にも関わらず今回,県に閉じたIP電話網としたのは「ユーザー数が少ないうちは,県ごとのIP電話網を接続するコストが上回ってしまう」(NTT東日本の伊藤保彦経営企画部担当部長)ことが理由。加えて,各通信事業者がIPセントレックス・サービスを続々と始める中,いち早くサービス開始にこぎ着けたかったという理由もある。「県に閉じたサービスならば認可申請の手続きが簡易なので,開始が早められる」(伊藤担当部長)。

(閑歳 孝子=日経コミュニケーション)