8月18日に発見されたコンピュータ・ウイルス「MS BLAST.D」の感染先は,日本が他国に比べて突出して多い状況が鮮明になってきた。情報処理振興事業協会セキュリティセンター(IPA/ISEC)の速報や米トレンド・マイクロの統計によれば,日本は米国や中国,韓国といった他国に比べ1.5倍~2倍も多い感染の様子がうかがえる。
実際に感染の被害や接続が不安定になるなどの影響を受けたことを明らかにしているのは,日本郵政公社,東京の武蔵野三鷹ケーブルテレビや豊島ケーブルネットワーク,長野県松本市のテレビ松本ケーブルビジョン――など。ただし,これら以外にも多くの企業やCATVインターネット事業者やADSL事業者が被害を受けていると推測できる。
武蔵野三鷹ケーブルテレビの山口忠弘社長は,「19日夜から計100件あまりの感染例を特定した。感染したユーザーのパソコンはpingを周囲のユーザーに投げ始めるので分かる」と状況を説明する。同社は現在,1)感染したユーザーに連絡してウイルスの駆除を依頼,2)センター側のルーターをpingを通らないように設定する――という二つの対策を同時に進めている。「ユーザーと連絡が取れなかったり,連絡しても駆除してもらえないような最悪の場合は,感染したユーザーの接続をしゃ断することも想定しているが,今のところまだそうしたケースはない」(山口社長)という。
MS BLAST.Dは,米マイクロソフトのOS「Windows 2000」や「同XP」などのセキュリティ・ホールを付くコンピュータ・ウイルス「WORM_MSBLAST.A」の亜種。W32/Welchi,Welchia,Nachiなど多くの別名がある。発見当初は,OSのセキュリティ・ホールをふさぐ修正ソフトを自動的にダウンロードするという一部報道があった。しかし,日本語環境のWindows OSについては,そうした修正機能は持っていないことが分かっている。