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 楽天は9月4日,宿泊予約サイト「旅の窓口」を運営するマイトリップ・ネットを買収すると発表した。9月17日付けで全株式を323億円で買い取る。マイトリップ・ネットの経営陣と社員はそのままで,人員削減などは行なわない。「旅の窓口」は,宿泊予約サイトでシェア70%を占める。2002年度の売上高は32億円,営業利益は11億円で,2003年7月末時点での会員数は283万人,月間予約件数は86万件に上る。

 楽天は,現在「楽天トラベル」というサイトで宿泊予約サービスを提供しているが,2つのWebサイトを統合するかどうかは未定。旅の窓口はビジネス向け,楽天トラベルはレジャー向けで,ユーザー層が異なるためだ。サーバーなどのシステムも当面は従来のまま運用するが,近い将来に統合する方針だ。楽天の三木谷浩史会長兼社長は「詳細は9月17日以降に両社の経営陣で話し合う」と説明する。

 株式取得額323億円のうち,およそ200億円は手元資金で残りは銀行借り入れで調達した。三木谷会長兼社長は買収額について「決して高いとは思わない。eコマースで最も成長が見込める旅行分野で,トップに立つことが戦略的に重要」と語った。

 今後は旅の窓口と楽天を同じIDで利用できるようにし,相乗効果を見込む。例えば,旅の窓口で宿泊予約したユーザーが,楽天のサイトでショッピングやゴルフ場予約などを利用する,という利用形態を想定している。

(白井 良=日経コミュニケーション)