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 坂村健東大教授が主催するT-Engineフォーラムとマイクロソフトは9月25日,携帯電話やディジタル・カメラなどのユビキタス機器やネットワーク情報家電向けOSを共同開発することで合意したと発表した(写真)。近い将来,携帯電話,ディジタル・カメラ,車など,これまでトロンが強かった分野に,マイクロソフトのOS「Windows CE .NET」が本格的に進出することになりそうだ。

 T-Engineフォーラムは,OS「トロン」のユビキタス機器向け標準仕様の策定をしている非営利団体。百万分の1秒単位の応答速度で動く「リアルタイムOS」の分野では,「トロンが,世界の組み込み機器市場の6割のシェアを持つ」(坂村健T-Engineフォーラム会長)。実際,携帯電話やディジタル・カメラには,トロンの各種仕様「μITRON」「JTRON」「μT-Engine」などで動作する機器が多い。一方,マイクロソフトはWindows CEのリアルタイムOS版を出してはいるものの,普及にはほど遠い状態だった。

 共同開発の具体的な目標は,T-Engineフォーラムが規定するハードウエアの標準仕様「T-Engine」とT-Engineフォーラム標準のOS「T-Kernel」の上でWindows CEを動作させるというもの。「T-Engineから見れば,Windows CEは,T-Kernel上の巨大なミドルウエア」(坂村会長)となる。モーターの制御など高速な応答が必要な機能はT-Kernelが担当。一方,ユーザー・インタフェースや他の端末との通信,Webブラウザ,音楽や映像などはWindows CE .NETが担当する。

 マイクロソフトにとって今回の提携は,リアルタイムOSという同社にとっての苦手分野を回避しながら,トロンが押さえている市場に入り込めるというメリットがある。マイクロソフトは既に,μT-Engine上にWindows CE .NETを実装した試作機を開発済み。早ければ,2004年中にも“トロン・ベースのWindows CE”を搭載した携帯電話やディジタル・カメラが多数登場する可能性がある。

(野沢 哲生=日経コミュニケーション)