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 NTTドコモとセキュリティ対策大手の米ネットワーク・アソシエイツ(NAI)は10月17日,携帯電話向けのウイルス対策ソフトを共同開発すると発表した。2004年中に投入する携帯電話に順次搭載する。「成果は国際標準機関への提案も検討している」(NTTドコモ)という。

 両社は,(1)携帯電話に搭載する小型のウイルス検査エンジン,(2)ウイルスの特徴を記したパターン・ファイルの携帯電話への配信技術--の仕様を策定し,開発する。携帯電話に搭載するOSやJava仮想マシン,アプリケーションなどを狙ったウイルスを防御するのが目的。あらかじめ設定したルールに基づいて不要なメールを削除する対策も盛り込む。なお,パターン・ファイルの配布やエンジンの更新には,同日17日から運用を開始したソフト・更新システムを活用する。現時点では,メール・ソフトやWebブラウザ,といったアプリケーション・ソフトの更新を想定している。

 NTTドコモがウイルス対策に乗り出した背景には,携帯電話の“コンピュータ化”がある。機能が増える中,端末の開発負担を減らすため,ハードやソフトのアーキテクチャを共通化する動きが出てきている。例えば,組み込みOSやミドルウエアなどソフトの共通化,仕様の公開が進んでいる。端末は,Windowsを搭載したパソコンと同じ道をたどっているともいえ,「携帯電話でも外部からウイルスや不正プログラムの攻撃を受ける可能性が見えてきた」(NTTドコモ)。今のところ「携帯電話の端末がウイルスに感染した事例はない」(同社)という。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)