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 長野県の田中康夫知事は10月20日の記者会見で,17日に総務省が発表した住民基本台帳ネットワークへの侵入テスト結果についてコメントした。「住基ネットへの侵入はできず,脆弱性もなかった」としている総務省の発表を「単なる大本営発表」と非難し,“安全性”を主張する総務省に疑問を呈した(写真)。

 侵入テストは,総務省の外郭団体である地方自治情報センターが米国監査会社であるクロウ・シェゼックに委託し,10月10日から3日間にわたり実施したもの。住基ネットのファイアウォールやアクセス用の端末などへ,数種類のハッキング・ツールを使って侵入を試みたが成功しなかったという。

 総務省のテストが,住基ネットの安全性を証明するものでないと田中知事が指摘した点は五つ。(1)品川区は全国に約3200ある自治体の一つであり,そこから住基ネットに侵入できなかったとしてもすべての自治体が安全だとは言えない,(2)インターネットからの侵入テストを実施していない,(3)侵入テストの実施時間が3~6時間と短く不十分,(4)総務省がテストを依頼した監査会社の結果だけで,第三者の公平な評価やコメントがない,(5)住基ネットへの侵入の可否だけを問題にしている--である。

 長野県も9月22日から独自に住基ネットへの侵入テストを実施した。現在結果を分析中で,第三者の公平な評価を受けた後で発表する。田中知事は,「侵入の可否だけでなく,住基ネットの運営上の様々な観点から検証されなければならない」と発言。総務省とは異なり,住基ネットの運用面の問題点まで踏み込んだ結果報告になることを示唆した。しかし,正式な結果発表の時期については触れなかった。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション)