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 警察庁は12月19日,IP電話から110番通報する際の技術仕様骨子を公開した。同骨子に対する一般からの意見を2004年1月19日まで募集した後,これらの意見を反映した技術仕様案を策定。その後,仕様案に基づいたシステムを構築する。早ければ2004度中にも,通信機器メーカーやIP電話事業者を交えた実証実験が始まる予定だ。

 警察庁が公開した,IP電話から110番通報するための技術仕様骨子の要件は大きく四つある。(1)発信者が管轄の都道府県警察本部等に接続できる,(2)通話状態を保持,あるいは発信者番号を使って警察側から呼び返しができる,(3)通報者の位置が特定できる,(4)ネットワーク内で緊急通報を優先して流す,の四つの仕組みを備えている点である。「既存の加入電話で実現している緊急通報の仕組みに,できるだけ近いシステムを目指したい」(警察庁情報通信局)。

 これらの要件を満たしたIP電話からの緊急通報は,KDDIのFTTH(fiber to the home)サービス「光プラス」のIP電話が既に仕組みを用意している。警察庁では,同社の仕組みなども参考にしながら,幅広いIP電話事業者が利用できる緊急通報システムを構築したい考えだ。

 警察庁は4要件に加えて,緊急通報システムの実現に必要な通信機器の仕様骨子も公開した。例えば,IP電話機の場合,呼制御プロトコルはSIP(session initiation protocol)ベースであること,音声符号化方式はG.711,G.729aに対応していること,優先制御機能があること--などである。

 IP電話からの緊急通報については,総務省も2004年3月に技術検討グループを発足させる計画。警察庁は,同省とも連携して緊急通報のシステム作りを進めていく。

 警察庁が今回のように特定の技術仕様を公開して,意見を募集するのは珍しい。意見募集をする理由として,「多数のIP電話事業者が参加できるシステムを構築するためには,警察庁単独では仕様を固めきれないと判断した」(警察庁情報通信局)と説明する。

(蛯谷 敏=日経コミュニケーション)