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 NTTドコモの津田志郎副社長は2月4日,2003年度第3四半期(2003年4~12月)の連結決算発表の席上で,今週から発売するFOMA 900iシリーズの実売価格を505iSなどの現行端末並みに抑える考えを明らかにした。「900iの調達価格は,最新の現行端末505iSシリーズより約1万円高い。この差をそのまま市場価格として反映させるのはつらい。代理店手数料(インセンティブ)を高くすることで価格差を抑えたい」(社長)。900iのインセンティブは約4万円と推察される。

 900iシリーズは,2~4月にかけて5機種発売される見込み。第1弾は2月6日に発売される富士通製の「F900i」である。指をあててスライドさせるだけで端末をロックできる「指紋センサー」機能を搭載する。「今夏以降,非接触ICカードを搭載して定期券やクレジットカード代わりになる携帯電話機が続々登場する。そうなると,端末のセキュリティ強化が欠かせない。これは,その先駆けとなる製品」(富士通)。

 900iシリーズは,従来のFOMA端末に比べて全般的に小型・軽量化を実現。連続待ち受け時間も移動時で300時間以上(F900iは移動時360時間,静止時480時間)と,大幅に向上している。また,カメラの画素数や各種iモード関連機能において,現行携帯電話機よりも見劣りする点がなくなった。アニメ・キャラクターを使えるテレビ電話やHTMLメールなど,プラスアルファの要素もある。ドコモは,自社の現行携帯電話ユーザーにFOMAへの移行を積極的にアピールできる自信作という。

 実際,FOMAへの移行は加速しつつある。現在のFOMAユーザーのうち82%が乗り替え。2003年9月から現行携帯電話ユーザー数は減少に転じ,ピーク時よりも55万少なくなった。一方,FOMAユーザー数は毎月数十万ずつ増えている。

 ドコモは昨年10月に開催した2003年度中間決算発表会で,「FOMAの累計ユーザー数の目標値を,年度末時点146万から200万に上方修正する」(立川敬二社長)と宣言。この目標は1月29日に達成した。そこで今回,「目標値を240万にする」(津田副社長)。F900iの次に開発が進んでいる「N900i」(NEC製)か「P900i」(パナソニック モバイルコミュニケーションズ製)のどちらかが3月上旬までに登場すれば,ほぼ確実に達成できると見られる。

 2003年4~12月の営業収益は3兆8283億円,税引き前利益は8360億円,当期純利益は4942億円。どちらの数値も2004年3月期決算での業績予想値の4分の3を超えており,目標を達成できる可能性が高い。業績予想値の修正はなかった。予想値はそれぞれ順に,5兆340億円,1兆820億円,6210億円。いずれも過去最高の水準だ。

 ただし,2003年4~12月の純増数シェアはau(KDDIと沖縄セルラー電話)を下回った。auは約193万の増加だったが,ドコモは約150万。また,利益を引き下げる要因の一つであるインセンティブを約1万円も高くしなければならないなど,いまはFOMAへの移行の“苦しみ”に耐えざるを得ない状況にある。FOMA端末はまだ量産効果が低い上,開発コストが高い。津田副社長は,キャッチアップに2年くらいかかるとの見方を明らかにした。

 安い普及型のFOMA端末の開発も検討し始めた。「これまでのFOMA端末は,機能を高めることを重視していた。当初は高機能性を求めるFOMAユーザーが多いと考えたからだ。すべての現行携帯電話ユーザーをFOMAに移行させるためには,機能をカットして安くした普及機が必要だろう」(津田副社長)。普及機の発売時期は述べなかった。

(杉山 泰一=日経コミュニケーション)