米国の通信行政をつかさどる連邦通信委員会(FCC)は2月12日,IP電話の規制に対する方針を発表した。これまで米国では,IP電話は加入電話が受ける規制の対象から外されていた。電子メールなどと同様にインターネットの一つのアプリケーションとして扱われていたからだ。
FCCは「通信サービスがインターネットを基盤とするように移っている中,緊急通報の実装や捜査機関への協力,消費者への保護や障害者が使いやすいサービスの提供といった社会的な側面は実装していくべき」として,一定の規制をかけていく方針。
一方で,電話事業者が負っている,地域電話会社への接続料支払いや,広くあまねく電話サービスを提供する基金制度への参加などについては,さらなる議論が必要として,明言を避けた。
IP電話を巡っては,昨年夏から州内の電話サービスの規制権限を持つ州政府と,IP電話事業者の間で激しい攻防が繰り広げられてきた。州政府が「IP電話は加入電話と同等の義務を負うべき」と主張する一方で,IP電話事業者は「IP電話はインターネットのアプリケーション。同等の義務を負わせるべきではない」として議論は平行線をたどっていた。
こうした状況にFCCが昨年12月に電話とインターネットについて議論する作業部会を設立。関係者を交えた議論を進めていた。今後は,発表した方針をもとに,具体的な規制の内容を話し合う。
(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)