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 日本テレコムの倉重英樹社長は3月8日,社長就任以後,初となる記者会見で,同社の事業戦略の方向性を明らかにした(写真)。今後これらを元に,2004年度の事業計画を具体的に策定する。

 会見の中で倉重社長が表明した事業の方向性は三つ。(1)落ち込んでいる売上高の反転と拡大,(2)ターゲットを絞った販売戦略を取り,特定の事業分野で突出した存在になる,(3)社員が生き生きと働くための組織改革--である。倉重社長は,今後注力する事業セグメントとして,ブロードバンド事業や,ビジネス・プロセスの効率化へつながるソリューション事業などを上げ,「積極的に投資していく」と強い決意を示した。

 また,東京電力やパワードコムを中心とする電力系事業者との連携する可能性についてもコメントし,「やはり光ファイバのアクセス回線は重要なので,引き続き検討を続ける」(倉重社長)との意向を示した。

 併せて,就任後に日本テレコム社内の各部署から行ったヒアリングの感想も述べた。「通信市場や日本テレコムが置かれた環境は厳しいが,変化が激しくオポチュニティ(機会)に満ちている。日本テレコムの社員は勤勉で実直。会社の変革にも意欲的だ。会社の規模がそれほど大きくないため,競合他社よりも早いスピードでサービス開発が可能」(倉重社長)など,同社の舵取りに強い自信を見せた。

 倉重社長は日本IBMの副社長を務め,IT業界での経験が豊富。その後,赤字続きだったコンサルティング会社の会長に転じ,売上高を急拡大させた実績も持つ。未経験の通信業界で,どこまでその経営手腕を発揮できるのか注目が集まる。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション)