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 家庭内の電力線をインターネットへのアクセス回線として利用する電力線通信のフィールド実験に,東京電力や松下電工など7社がそれぞれ取り組んでいることが分かった。

 総務省の公開情報によると,電力線通信のフィールド実験を行っているのは電力会社が東京電力と九州電力の2社,機器メーカーおよびインテグレーターがプレミネットとラインコム,松下電器産業,松下電工,三菱電機の5社。実験場所は,合計で13カ所。このうち,11カ所が関西地区や九州など西日本地域である。

 電力線通信は家庭内の電力線(電灯線)を通信回線として使う。電力線通信用モデムのケーブルを電源のコンセントに差し込むことで,インターネットへのアクセス回線として利用できる。10M~30MHz程度の高い帯域に信号を乗せることで,数十Mビット/秒の高速通信ができるという特徴がある。

 実用化には問題があった。2002年の夏に実施したフィールド実験で,(1)電柱から各家庭への引き込み線,(2)サービスを利用している建物,から空中に電磁波が漏えいすることが確認されたからだ。アマチュア無線,短波や中波のラジオ放送,船舶通信への悪影響が懸念された。

 日本アマチュア無線連盟など関係団体が反対の意思を表明したほか,専門家からは「漏えい電磁波のレベルが高すぎて問題あり」との意見が続出し,検討が凍結されたという経緯がある。

 ところが,政府が電力線通信の検討を2003年度のIT政策に盛り込んだ。これを受けて総務省が,条件付きながら1月末にフィールド実験を解禁。各社が免許を申請した。すでに3月から4月にかけて,三菱電機とラインコムが実験を実施し,終了している。

 総務省が付けた条件は,(1)漏えいする電磁波の軽減技術を実装する,(2)他の通信や周囲の設備に悪影響を与えない,(3)場所や運用日時など実験計画を明らかにし,結果を報告する――など。帯域は2M~30MHzに限定した。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)