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 経済産業省は7月23日,1個5円の国際標準準拠の無線ICタグを2年間で開発する「響プロジェクト」の公募結果を発表した。採択されたのは日立製作所。同社は中核会社として,ICチップの開発から加工までの全行程の責任を持つ。協力会社としては,大日本印刷,凸版印刷,NECが名を連ねた。

 無線ICタグには利用する周波数帯によって様々な種類があるが,響プロジェクトで開発を目指すのは,UHF帯を利用する「UHF帯無線ICタグ」。米ウォルマート・ストアーズが,2005年1月からサプライヤ100社と共に実運用を開始するなど,世界的な普及が見込まれる。

 だが,国内でUHF帯無線ICタグを利用するには周波数割り当ての見直しが必要。産業界の導入や国内メーカーの製品開発面で世界に遅れを取っている。国内でのUHF帯無線ICタグの普及を促進し世界に追いつくためには,安価なタグの存在が欠かせない。例えば,UHF帯無線ICタグの導入を積極的に検討している出版業界の場合,商品の単価は数百円。タグの単価が1個数百円では導入できない。出版業界だけでなく,「1個5円ならすぐにでも導入するという企業の声を聞いている」(経済産業省)という。

 響プロジェクトでは,複数の企業で協力して開発するのではなく,1社に開発のすべてを任せる。「複数企業で協力すると責任の所在があいまいになる。2年後を完成を目指し,責任をもって製品開発をしてもらえるよう,“チップ製造から加工までをすべて請け負える”という条件を満たす企業を募集した」(経済産業省)。国内メーカーの多くが海外製チップを採用し,自社では加工だけを請け負っている事情もあり,応募は日立製作所の1社だけだった。

(山根 小雪=日経コミュニケーション