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日立グループは各社に分散しているIP電話関連の製品・構築部隊を連携させる。あくまでも連携であって,統合ではない。日立グループが目指すIP電話戦略について,グループ連携の責任者である日立製作所情報・通信グループ ネットワークソリューション事業部 IPテレフォニー事業推進センタの木原史朗センタ長に聞いた。

--会社の壁を越えて連携しようと考えたきっかけは?
 日立製作所にはネットワークに関連するビジネス取り組み会社がいくつかある。そして,それぞれが独立に動いていた。ただ,次第にそれぞれの会社が同様の機器を開発したり,販売していてもしょうがないと考えるようになった。
 実際には昨年の5月頃に,情報・通信グループの篠本学CEOから,連携について話があった。そして,12月に決定。今年の5月1日に本格的に始動した。

--グループのどの会社が連携するのか。
 日立インフォメーションテクノロジー(日立IT),日立コミュニケーションテクノロジー(日立コム),日立INSソフトウェア(日立INS),日立ハイブリッドネットワーク(日立ハイブリッド)の4社である。これらの会社から,日立製作所のIPテレフォニー事業推進センタに,技術,営業,販売のスタッフを出してもらった。専任は15名だが,4社からのスタッフを含めると60名の陣容となる。また,各社でIP電話に関わっている社員は1000人を超えるだろう。

--連携は日立本体と4社で終わりなのか。
 そうではない。いろんなグループ会社に声をかけている。今のところ,日立電線,日立情報システムズ,日立電子サービスと交渉を進めている。その他の会社とも連携していきたい。

--連携グループのライバルとなる会社は。
 NECをライバルと見ている。当社とNECは,事業の範囲や音声通話への取り組みなどが似ている。むしろ,日立はシステムなど上位の層では優位にあると自負している。富士通とは少し違う。同社は通信回線網を持っており,IP電話をサービス的に提供しているからだ。ただ,日立がまったくサービスをやらないわけではない。日立コムがIPセントレックス・サービスを提供している。
 シスコシステムズや日本IBMにも脅威は感じている。ただ,音声の扱いでは日立が強いと思っている。

--IP電話関連の売り上げ目標は?
 2004年度は1000億円の売り上げを見込んでいる。これを2006年度には1500億円まで伸ばしたい。ここには,呼制御サーバーなどの機器,ネットワークを構築するルーターやスイッチ,IP電話と連携するグループウエアなどのアプリケーションを含む。

--連携の結果,ユーザーから日立のIP電話はどう見えるのか。
まず,「CommuniMax」という共通のブランドで各社の製品を組み合わせた情報やソリューションを提供していく。実際に販売したり,構築するのはそれぞれの会社となるが,ユーザーは1カ所に問い合わせるだけで,各社の製品やサービスを組み合わせたソリューションについて相談や導入ができるようになる。

--各社で重なる製品の開発や販売は中止するのか。
基本的に,開発面での無駄を無くす方針だ。この製品や技術はこの会社にお願いします,という風にしたい。ただ,商品によっては競わせた方がいい場合もあるだろう。顧客のニーズ次第だ。

--SIP対応のIP電話サーバーを各社が重なる形で保有しているが,絞る考えはないのか。
 各製品間でSIPの仕様を合わせて連携ができれば,1社や1製品に限定する必要はないと考えている。複数あってもいい。今のところ,日立コムに3製品,日立ITに1製品ある。日立コムの3製品のうち2製品は今後SIPに対応する予定である。
 また,日立はSIPでいくという言い方をしているが,呼制御プロトコルを限定する必要はないと思う。顧客の要望に応じて提供していく。

--シスコやNECに比べると,IP電話の大規模な構築案件がないように見えるが。
 ないわけではない。顧客の意向で公表していないだけ。導入するIP電話機の数にして数千台の案件がいくつかある。数千台の上のものもある。一番大きいのは,金融業と産業分野の会社。アプリケーションとの連携を行っているユーザーもいる。日立自身もIP電話を採用する。2007年3月の日立製作所を皮切りに,グループで10万ユーザーに導入する。

(聞き手は市嶋 洋平=日経コミュニケーショ ン