NTTデータは11月2日,2005年3月期の中間決算を発表した。売上高は前年同期比6.8%増の3817億9000万円へ拡大した。しかし,新規大規模システムの稼動,中期経営計画に伴う成長施策などでコストも拡大。本業のもうけとなる営業利益は前年同期比29%減の169億9400万円へと落ち込んだ。
売上高の拡大は,前年下期に受注した大規模システムの支払いが,今期,一括払いとして処理されたことが大きい。下期には,こうした効果が見込めないうえ,「今期は中央官庁向けをはじめとして,大規模システム案件の端境期に当たる」(井上裕生財務部長)。さらに,価格競争が激化している状況もあって,通期の売上高としては前期比2%減を予想している。
コストの拡大は,複数の顧客企業が共同で利用する新システムを2004年1月に稼動させたことが大きく影響している。金額ベースで50億円押し上げた。また,中途採用の積極化,無線ICタグを初めとした新規ビジネス投資,Linuxを使ったオープン・システムの開発や運用ノウハウの蓄積など成長施策への取り組みに60億円を投資したことも,コストを押し上げる要因となった。
最終的なもうけとなる純利益は同107.2%増の81億8100万円となったが,これは,前期に構造改革策で処理した特別損失がなくなったため。前期は,人件費を削減する狙いから,社員の子会社への移籍と賃金の切り下げを実施した。その際に支払う一時金として特別損失を計上していた。
通期の見通しは,売上高が前年比2%減の8300億円,営業利益が同41.4%減の350億円,経常利益が同47.6%減の260億円,純利益が同40.6%減の160億円となる見込み。