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 総務省は11月8日,「携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会」の第3回会合を開催した。今回は,11月4日に携帯電話事業の新規参入や周波数の割り当て方針について意見陳述した各社が,一同に会して意見交換を実施した(写真)。

 出席したのは,NTTドコモ,KDDI,ボーダフォンの携帯電話事業者とソフトバンクBB,イー・アクセス,平成電電,アイピーモバイルの新規参入を目指す4社。各社とも社長やCEO(最高経営責任者)が顔を揃えた。既存の携帯電話事業者と新規参入を目指す事業者が直接意見交換をするのは極めて珍しい。

 会合では各社の立場や事業展開に対する思惑などの違いから,予想通り意見が対立。2時間以上に渡り白熱した議論が展開された。

 まずはKDDIの小野寺正社長が「前回の意見陳述でソフトバンクBBから,我々があたかも2GHz帯を利用していないかのような発言があったが,これは事実とは異なる。訂正して陳謝してほしい」と発言。ソフトバンクBBの孫正義社長が「解釈違いであれば陳謝したいが,既存の携帯電話事業者がふんだんに周波数を使用しているという趣旨は変わらない」と答えるなど,冒頭から会合がピリッとした雰囲気に包まれた。

焦点は公正な競争条件の確保と「マルチバンド」

 会合で焦点となったのは,(1)新規参入事業者と既存の携帯電話事業者の公正な競争条件の確保と,(2)複数の周波数帯を利用する「マルチバンド」--の二つ。

 (1)公正な競争条件の確保について,ソフトバンクBBは既存の携帯電話事業者と同じ条件での割り当てにこだわった。携帯事業参入に必要な周波数帯として,「最低でも20MHz×2は必要。しかも,800MHz帯と1.7GHz帯をミックスしてほしい」(孫社長)。ソフトバンクBBはサービス開始までに,全国に基地局を1万数千規模設置,数千億円を投資することを明らかにした。5年後には1000万ユーザー規模を目指す。通信方式はNTTドコモやボーダフォンの採用するW-CDMA(wideband-code division multiple access)またはKDDIのCDMA2000を検討している。

 そして,複数の周波数帯でのサービスを実現するのが(2)マルチバンドに対応した携帯電話機だと説明した。「欧州などでは既にマルチバンド端末は利用されている。それを実現するためのチップも,100万台以上の量産効果がでれば3米ドル程度のわずかな負担で調達できる」(孫社長)。さらに既存の携帯電話事業者の事業展開に触れ,「KDDIやNTTドコモも,800MHz帯と2GHz帯のマルチバンドでサービスを提供すると聞いている。両社が2GHz帯だけでサービスを提供しないのは,明らかに800MHz帯が有利だからだ」と声高に訴えた。

 一方,NTTドコモの中村維夫社長は800MHz帯には新規参入の余地はないことを冷静に説明した。「800MHz帯の再編は今後の空きを作るための移行作業であり,実際我々も800MHz帯は整理縮小している」(中村社長)。

 マルチバンドについてもNTTドコモは周波数不足への応急処置であることを説明した。「まとまった周波数帯でサービスを提供するのが最も良いが,現状はそれが難しいため,マルチバンド端末で対応する」(石川国雄副社長)。KDDIも「マルチバンドでサービスを提供するためには,チップの対応だけでなくソフトウエアの改造も必要になり,相応のコストはかかる」と孫社長に反論した。

 次回の会合は11月25日に開催する予定。今回に引き続いて,各社の意見交換会が実施される。