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 「非常用の電源確保は当たり前だと思っていた。正直言って驚いた」──

 総務省消防庁防災課防災情報室の齋田豊課長補佐は今回の新潟県中越地震で電源問題から防災無線を活用できなかったことに驚きを隠さない(写真左)。国と県,そして県と市町村は災害時でも連絡を取り合える回線で結ばれている。新潟県では,1)通信衛星経由の防災無線,2)優先的に接続できるNTTの電話回線の2系統を用意していた。

 ところが,今回の震災発生直後,多くの市町村で衛星経由の防災無線を活用できなかった。具体的には「地震直後,新潟県内19の市町村で防災無線の接続エラーが出ていた」(総務省総合通信基盤局基幹通信課の齋田信二郎防災通信係長,写真右)という。

 防災無線が使われなかった最初の要因が商用電源の一斉停電。被災地や周辺など広い地域に渡って起こっていた。そして第2の要因が,多くの市町村が,予備バッテリーや自家発電機など非常用電源を防災無線につないでいなかったことだ。

 そして第3の要因が多くの役所が,優先的に接続できるNTT電話を使い続けたこと。「NTT東日本の電話インフラが大部分稼働し続けた」(消防庁の齋田課長補佐)ためである。もっとも最悪のケースは実際に起こった。越路町,小国町では光ファイバが2系統とも切断。丸2日間,NTT電話が利用できない状態が続いた。山古志村では現在も電話が復旧していない(11月10日時点)。

 消防庁の齋田課長補佐は「日頃から発電機などを点検して欲しい」と警鐘を鳴らす。新潟県のある町役場は,最後のライフラインともいえる自家発電機を用意していなかった。事態を重くみた総務省は11月1日,消防庁防災課長名で各都道府県に非常用電源の整備や点検を呼びかける文書を出した。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション