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 通信ベンチャーの平成電電が日本テレコムへの訴訟を準備していることが分かった。日本テレコムが12月1日に始める新型の固定電話サービス「おとくライン」を対象として,不正競争防止法に基づくサービスの差し止めを求める考え。週明けにも東京地方裁判所に提訴する見込み。

 訴訟の対象となったおとくラインは,平成電電が2003年9月に始めた「CHOKKA」(当時のサービス名は平成電話)と同様に,ユーザーが既存のメタル線と電話機を使い続けることができる固定電話のサービス。問題視しているのは,2004年7月にテレコムの買収を完了し親会社となったソフトバンクがとったとされる行為。平成電電は今春,ソフトバンクに通信事業を売却することで交渉していたが決裂したという経緯がある。その後,ソフトバンクは5月末にテレコムの買収を発表した。

 平成電電の佐藤賢治代表取締役は「ソフトバンク側が買収に伴う事業の精査をする過程で,技術者を送り込んで当社の電話サービスに関するノウハウを取得。その後,テレコムを買収し当社と同様のサービスをすぐに始めた」と主張する。

 CHOKKAもおとくラインも,通信事業者が東西NTTからメタル線を借りる「ドライ・カッパー」という制度を活用している。NTTの交換局から先は専用線を利用し,データ・センターに置いた電話交換機と接続する。

 平成電電が提訴に踏み切った場合,裁判の焦点は(1)平成電電とソフトバンクの売却交渉における秘密保持契約などの条件,(2)ソフトバンク側が平成電電からどの程度技術を得たのか,(3)日本テレコムのおとくラインと平成電電のCHOKKAとのサービスの差異--などとなる。

 ソフトバンク側は10月の本誌のインタビューに対し,「おとくラインの直加入電話サービスを実現するための機器を2年半かけて開発してきた」(日本テレコムの常務執行役を兼任するソフトバンクBBの宮川潤一常務)としており,両者の主張は真っ向から対立するものと見られる。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション