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 今年は通信サービスだけでなく,通信インフラ面での競争を促進したい--。総務省で通信サービスやその料金設定に責任を持つ総合通信基盤局料金サービス課の鈴木茂樹課長は2005年の目標についてこう語る(写真)。鈴木課長は「東西NTT以外の通信事業者が光ファイバを敷設しやすい状況を作るのが望ましい」と言う。

 背景にあるのは,光ファイバを利用した通信サービスにおける東西NTTのシェア推移。FTTHサービスは総務省の調べで,昨年9月末現在203万4000回線。このうち,東西NTTが121万5000回線と過半数を占めている。さらに,有線ブロードネットワークスなどの大手FTTH事業者も主として東西NTTから光ファイバを借りることでサービスを展開している。一方,自ら光ファイバを保有してサービス展開している電力系通信事業者のFTTHは27万3000回線。東西NTTの光ファイバの心線としてのシェアは7~8割を上回っているものと見られる。

 総務省は東西NTTが光ファイバで高いシェアを握り続け,独占状態になることの解消を狙っている。そこで,電柱や管路に他社が光ファイバを引きやすい状況を作り出し,「東西NTT以外の事業者にも光ファイバを引く努力をしていただきたい。光ファイバは今後何十年も使っていくもの。東西NTT以外の事業者であっても保有するメリットもあるだろう」(鈴木課長)としている。

 インフラ敷設のルールについては「従来から電柱や管路を東西NTTや電力会社以外の事業者が利用するためのガイドラインを整備してきたが,不十分であれば見直すこともあるだろう」(鈴木課長)との考えを示す。

 総務省の方針が,東西NTTの光ファイバ独占に風穴を空ける可能性があるが,一方で通信事業者にとっては両刃の剣でもある。仮に東西NTT以外の事業者が光ファイバを引き回すことが容易になり実績が出れば,「競争が進展した」として総務省が東西NTTに課している光ファイバの貸し出し義務を撤廃する可能性があるからだ。

 どちらにしても,総務省による設備ベースの競争促進は,KDDIやソフトバンクBB/日本テレコムといった配線インフラをほとんど保有しない競合事業者の光戦略に少なからず影響を与えそうだ。

 

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション