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 「2005年1月2日早朝,全国数千社の企業ユーザーのトラフィックが乗るバックボーンを切り替えた。息を飲む瞬間だった」--。パワードコムの小林昌宏・常務執行役員マーケティング・商品統括本部エンタープライズビジネスセグメント担当(写真)は本誌の取材に対して,同社が全国に構築しているバックボーンを一新していたことを明らかにした。

 一新したのは,北海道から九州までの全国9カ所のネットワーク・センター間を結ぶバックボーン回線。同社の広域イーサネット・サービス「Powered Ethernet」を利用する全ユーザーのトラフィックを運んでいる。

 パワードコムは大規模なバックボーン切り替えに踏み切った最大の理由は帯域不足。ユーザーに提供するアクセス回線品目の帯域が太くなるにつれて,バックボーンに流れ込むトラフィック量は激増していた。従来のバックボーン帯域は2.4Gビット/秒だったが,新バックボーンでは10Gビット/秒まで増速した。「10Gビット/秒のインタフェース・カードが使えるようになって,カード交換の頻度や煩雑さが低下。運用効率がアップするメリットもある」(小林常務執行役員)という。

 バックボーンの刷新は約1年前から計画していたという。2004年春には切り替え方法を決定。Powered Ethernet網はユーザーを収容するアクセス網,バックボーンともにレイヤー2のネットワークだ。部分的に切り替えていくと,ループができ大障害につながる可能性があった。このため従来のバックボーンと並行して新バックボーンを構築し,一気に切り替えることにした。2004年夏には新バックボーンの構築が完了。「切り替え用の専用ツールを自社開発し,2~3カ月をかけて徹底的にテストした」(小林常務執行役員)。

 小林常務執行役員が最も危ぐしていたのが,オペレーションのミスだ。「Powered Ethernet網は信頼性の向上を図るために,ネットワーク機器に度重なる設定変更をしてきた。正常にツールが動作するよう,コンフィグレーションの統一などが出来ているかどうか心配していた」(小林常務執行役員)。

 ユーザーには事前に,バックボーンの切り替えは1月2日早朝3時~3時半の間の5秒間と告知していた。「当日はもしもの時に備えて50名体制で待機した。だが心配していたトラブルもなく,2秒間で切り替えを完了できた」(小林常務執行役員)。2秒間のネットワーク断は,ユーザーからは気付かないほど短い。システム・インテグレータなどのping監視でも,1秒1回pingを投げて,3回応答がなければ障害と認識するのが通常だからである。新バックボーンはその後もトラブルはなく,順調に稼働しているという。

(山根 小雪=日経コミュニケーション