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 ネットワーク機器販売のテリロジーは4月12日,米国の新興ルーター・メーカー,アナグランと総代理店契約を結んだと発表した。アナグランは“インターネットの父”の一人,ローレンス・ロバーツ氏(写真)が,2004年2月に設立した。現在製品を開発中で,2006年早々にも出荷を開始する予定。

 ロバーツ氏はインターネットの原型と言われる「ARPANET」を立ち上げた人物である。ATM(非同期転送網)メーカーなどを複数設立した後,通信事業者向けルーター・メーカーの米カスピアン・ネットワークスを設立し,CTO(最高技術責任者)として機器設計などに従事した。

 そのロバート氏が新たに立ち上げ,自らCEO(最高経営責任者)兼社長を務めるアナグランは,通信事業者向けコア・ルーターを主軸とするカスピアンと異なり,小型で安価な製品を開発中だ。ロバーツ社長は新会社を設立した理由を「カスピアンではやれなかった小型ルーターを開発をしたかった。通信事業者向けの大型ルーターよりもマーケットがずっと大きい」と説明する。

 カスピアンで採用したフローステート技術は,アナグラン製品でも継承する。フローステート技術は,関連するパケットを「フロー」と呼ぶ固まりで識別する。通常のルーターがパケットを一つ一つ認識して処理するのに対して,フローで認識することにより,トラフィックの効率がアップする。「フローステート・ルーターはWAN回線の帯域を83%まで使えると確認した。この数値は,通常のルーターの約3倍に当たる」(ロバーツ社長)。

 アナグランではさらに,独自の「QoSシグナリング」技術を実装する。QoSシグナリングとは,ルーターがサポートできる伝送速度と遅延の状況をチェックしながら,帯域保証のパスを張る技術。通常のTCPを使う場合に比べて,通信開始直後から帯域を有効に使える。ITU(国際電気通信連合)などに提案中で,今夏にも標準化が完了する見通しだという。

 ベンチャー企業の場合,財務面での安定性も大きな問題だ。アナグランは4月5日に,米ヒューレット・パッカードを介して,米国防総省の研究・開発部門「DARPA」(Defense Advanced Research Projects Agency:高等研究計画局)に複数年にわたってルーターを提供する契約を結んだと発表している。「ベンチャーにとって資金の問題は大きいが,今回の契約で当面の安定は確保できた」(ロバーツ社長)を自信を見せた。

(山根 小雪=日経コミュニケーション