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 NTT物性科学基礎研究所は6月14日,信号を光のままスイッチングする光スイッチで構成したネットワーク上で,暗号鍵の盗聴が事実上不可能な「量子暗号通信」の実験に成功したと発表した。

 同研究所の森田雅夫量子光物性研究部長は,「2年後にはサービス提供が可能」な水準に到達するという。今回の実験で使った光スイッチは,NTTが2004年11月に中期経営戦略で発表した次世代ネットワークへの導入が見込まれている(参考記事)。次世代ネットワークの付加価値の一つとして,量子暗号を使った高セキュリティ・サービスが登場する可能性がある。

 量子暗号とは,光の最小単位である光子の量子力学的性質を利用した暗号技術。一般に暗号通信する際は,通信の前にデータを暗号化する暗号鍵を送信側から受信側に配送する。鍵配送時に暗号鍵が盗聴されてしまうと,通信の内容が丸見えになってしまう。しかし量子暗号では,鍵交換の際に第3者に盗聴されると送信者も受信者も鍵が盗まれたことが分かる。暗号鍵を読まれると光子の状態が変わり,その痕跡が残るという量子力学の原理(ハイゼンベルグの不確定性原理)があるからだ。盗聴を検知したら別の暗号鍵を再度生成し,通信のルートを変更して暗号鍵を再送することでデータが解読されることを防ぐ。