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 KDDIとパワードコムが合併するとの一部報道に対し,パワードコムの親会社である東京電力とKDDIがそれぞれコメントを発表した。東京電力はパワードコムの株式を80%超保有する。

 KDDIは「当社は東京電力と日頃より意見交換を行っているところです。しかしながら,現時点で合併など具体的に決定していることはありません」,東京電力は「KDDIとも日頃より意見交換を行っているところです。しかしながら,現時点で合併など具体的に決定していることはありません」とほぼ同様のコメントを発表。歩調を合わせていることを印象付けた。

 また,パワードコムは「(東京電力とKDDIが)情報交換していることは聞いていたが,合併については何も決まっていない」とコメントするに留まった。

 合併で両社がメリットを出せるかどうかは,KDDIがパワードコムなど電力系通信事業者や電力会社の光ファイバをどの程度有効的に利用するかにかかっている。

 KDDI関係者は「パワードコムとKDDIの固定通信事業はいずれも厳しいが,KDDIにとっては電力系の力を借りてローカルの光を引きたいという考えもある」と一定の期待を寄せる。

 また,通信政策を管轄する総務省の関係者は「KDDIがパワードコムを取得すれば,パワードコムに出資している各電力会社や電力系通信事業者の光ファイバとの接続がしやすくなるだろう。競争が進みNTTの対抗軸が生まれるという面から見れば歓迎だし,十分にあり得る組み合わせ」とプラスに評価する。

 大和総研の企業調査第二部森行眞司シニアアナリストは「KDDIにとっては,統合を機に光インフラに強みを持つ東京電力との連携が深まる可能性がある」と指摘する。

 ただし,両社の固定通信事業を単純に足し算するだけでは効果は薄そうだ。

 UBS証券会社株式調査部の乾牧夫マネージングディレクターの指摘するように「パワードコムの持つネットワークは中継系で法人に強いが,KDDIとはネットワーク的に重複する部分もある。KDDIにとって法人向けを補強する意味合いはあるもののNTTに対抗するようなものではない」との声も少なくない。

 ある通信事業者幹部も,一般論とした上で「合併した場合,重複する事業も多いため,シナジー効果を得るにはリストラが必要となる」と語る。

 パワードコムの中根滋社長は2004年5月,社長就任前の本誌インタビューに「目標は三つある。(1)売上高の拡大,(2)早期の赤字脱却,(3)電力系事業者の大連合」だと語っている。

 そして,「最も悩ましいのは現状の売上高。長距離通信事業者の大手4社中,パワードコムが最下位。M&A(企業の合併・買収)も駆使する。数年後には業界2位,8000億円程度での売り上げ規模にしたい。この目標達成には,今後1年が最も重要になると考えている」と合併や買収については前向きな姿勢を示していた。そして今,1年が経過したところだ。

(大谷 晃司,市嶋 洋平=日経コミュニケーション