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角田氏写真

角田好志(かくた・こおし)

オープンソース・ジャパン社長
NPO法人OSCARアライアンス事務局長

1969年、三井銀行に入行(システム開発部などに在籍)。IT子会社へ出向後、1997年にJavaとLinuxでシステム構築を手がけるテンアートニを設立。2002年に現在社長を務める会社の前身ゼンド・オープンソースシステムズを設立。オープンソース・ビジネスの普及啓蒙活動を推進するNPO法人OSCARアライアンスの事務局長としても活躍する。

 オープンソースは、一般的に無料で利用できる点が特に注目されている。だが、実はソフトを記述したプログラム(ソースコード)が公開されている点が最大のメリットだ。

 「透明性」(誰もがソースコードを修正・変更でき、代替の機能を持つソフトへの移行が容易)、「非独占性」(特定のシステム・ベンダーに牛耳られない)が確保されているからこそ、最終的に「経済性」(情報化投資の削減)が見込めるのだ。

 特定ベンダーが有するOS(基本ソフト)やデータベースには、囲い込みに遭う危険性が常にある。ベンダーの独自仕様の派生プログラムがある業務システムも同様だ。

 「透明性」「非独占性」「経済性」という三つの利点に加えもう一つ、自治体ユーザーにとっては、オープンソースを地域経済の活性化に利用できるというメリットがある。特定のソフト・メーカーが情報を握る商用ソフトの技術習得には、技術者の研修や教育に投資できる大手システム・ベンダーの方が有利となるが、オープンソースの場合は、ソースコードが公開されているため、東京の大手システム・ベンダーであろうが、地元のシステム・ベンダーであろうが、技術を習得しようとするスタートラインはほぼ一緒である。

■地元主導によるシステム構築を実現すべき

 このため、オープンソース技術の習得により、予算の少ない都市圏以外でも有能なシステム・ベンダーの育成が十分可能になる。

 ただし、この実現のためには、地元のシステム・ベンダーの人々が、ソースコードやライブラリを体系的にしっかりと理解できる教育カリキュラムを作成し、用途に応じてソースコードを改修できる能力を養成することが必要だ。

 さらに自治体は、地域経済の“消費者”である地元ベンダーへ仕事を発注することが重要となってくる。東京などの大手システム・ベンダーから地元ベンダーへの下請け構造を改めるには、オープンソース活用をベースに、地元主導の情報システムの構築を実現していくべきである。

 自治体が、実際のシステム構築においてオープンソースを活用する場を数多く提供することにより、地元ベンダーの技術力向上に貢献できる。その結果、特徴のあるオープンソースを得意分野にできれば、他の地域からの仕事の呼び水とすることもできる。

 オープンソースを活用するに際しては、まずは基幹系ではなく新たな適用分野からスタートするのがいいだろう。従来型の基幹系情報システムでは、業務アプリケーションの知識を始め、既存の大手ベンダーの方が優位となることが多いからだ。筆者は、兵庫県洲本(すもと)市でオープンソースを活用し地域振興を試みる「OSCA(OpenSourceCommunityinAwajishima)プロジェクト」に中核メンバーとして参画したが、洲本市ではオープンソース活用の方向として、介護関連や施設予約など、市民生活に直接役立つ新たなシステムを構築していく考えだ。

 このような取り組みを続けていくことが、地元の経済活性化につながっていくと信じている。