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ロバート M.バートン
(Robert M Berton)

アクセンチュア ガバメント・グローバル・マネージング・パートナー アウトソーシング担当
1978年、アクセンチュア入社。米国東部政府顧客グループ顧客管理パートナーなどを経て現職。同社の「政府アウトソーシング成長戦略」の開発を指揮、管理している。ビジネス・プロセス・アウトソーシング、アプリケーション・マネジメント、ITアウトソーシングなどアウトソーシングの専門家。

 アウトソーシングには2つの方向性があります。「効率を改善してコスト削減と生産性の向上を目指す」という方向性と、「ビジネスのやり方を変えていこう、違うやり方を取り入れることでより利益をあげていこう」という方向性です。

 日本の行政機関は、これまでアウトソーシングについて、「効率」にフォーカスしていました。インターネット経由をはじめとする、複数のチャネルでサービスを提供しようという方向性ではありません。

 一方、アクセンチュアが行った2003年に世界23カ国・団体の行政機関のアウトソーシングに関する調査によると、アウトソーシングの目的は「サービスの迅速化・品質改善」「ノウハウの獲得」「新たな技術の利用」などが上位に入り、「コスト削減」は7番目にしか過ぎません。

 実際、アウトソーシングの内容も、ITアプリケーションやITインフラばかりでなく、Webサイトの保守・運営、CRM、職員研修や教育プログラムなど、ビジネス・プロセスそのものに関わるアウトソーシングが増加傾向にあります。

 また、別の調査では、市民は「サービスのレベルが向上するのであれば、その分の税金を多めに払ってもいい」と考えていることも分かりました。

■再配置のためのトレーニング・プログラムを充実させよ

 こうしたビジネス・プロセス・アウトソーシングを行政で進めていくには、まず「仕事がなくなるのではないか」という職員の懸念を払拭する必要があります。例えば、ほかの分野の仕事に従事してもらうためトレーニングを充実させるなど、自然なやり方で、今の働き方、職務を替えていくという考え方です。米国では、連邦政府、州政府、地方自治体いずれも、(一部の例外を除いて)職員を解雇するという形ではなく、他の分野における再訓練を考えています。数の削減は、定年退職をする人の代わりを採用しないことや、早期退職制度を設けるなど、自然減に任せています。

 また、ビジネス・プロセス・アウトソーシングについて「職員が市民に接する機会が減る」という反論もありますが、ルーティン業務は外部に任せて「市民は何を望んでいるかを考える」という先手を打ったところに職員は時間を割くべきです。

 そのためにも、新しいことにチャレンジした職員を評価することも大切です。職員は評価されるし昇進もする。さらに関連の予算が多く回ってくる。──そうなれば、他の職員のやる気も向上します。

 例えば、ニューヨーク市ではコールセンターが市民から高い評価を得て、担当職員は表彰されました。さらに、市民向けの電話サービスの重要性が認識された結果、緊急用の電話(911)で、携帯電話で通報しても、どこから電話をしたかを特定できるシステムを導入する予算が付きました。別のある自治体では、調達システムの新しいアイデアに特別ボーナスといった報償を出しています。

 こうした変化は誰がもたらすのか。一つ言えるのは、公務員は上司の言うことは聞く傾向がありますので、上の人を説得できる前例が増えてくれば、変化は着実に進むでしょう(談)。