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■成果だけでなく、未達成の部分も分かりやすく情報提供

清原氏写真

──ITの活用ということでは、市のホームページも充実していますね。

清原 市の職員も、もっと市民の皆さんに適切かつ迅速に情報を伝えたいと思っています。そこで、昨年の7月1日から三鷹市のホームページは、「市民向け」と「訪問者向け」、それと「事業者向け」の3 つのトップページに分けました。そして各課が迅速に情報を作成し発信します。各課が最も情報源に近いわけですから、そこで責任を持って情報を発信していくように徹底しました。市民の皆さんからは「分かりやすくなった」「更新が早くなった」「必要な説明について詳細度が増した」といった反響をいただいています。

 私は、ホームページというのは、今のIT社会の基礎というか、基盤の一つだと考えています。それがまず充実していないと、市民の皆さんに「ご意見をください」と言っても、市民の皆さんは、「何を素材に意見を言ったらいいのか」ということになると思うのです。

 関連して、昨年の12月から「市長のメールマガジン」も月2回発行しています。ここでは市長のコラムや日々の動向のほか、庁内の経営会議のメンバーである各部長にも順番にコラムを書いてもらっています。市民と市役所との距離が、より近づいていけるようにと考えたわけです。

 これらの取り組みの目的は、情報の共有です。市民の皆さんに、まず市のことを誰よりも分かっていただくということが大切だと考えています。ネット上だけでなく広報紙も、より内容を拡充して、読みやすくしています。また、昨年の4月からは、シルバー人材センターの皆さんに全戸配布をお願いして、従来の新聞折り込みより市民への到達率が高くなっています。

──まずは市の側から情報を出していく、ということですね。

清原 その通りです。受け身の情報公開ではなく、積極的に情報を提供していく。これが三鷹市の方針です。三鷹市では「自治体経営白書」という報告書を毎年発行していますが、この白書は、「成果だけでなく、未達成のものも明確にお伝えすることが、市民の皆さんとの協働のまちづくりを進めるうえで、『次の一歩』を約束する信頼を生み出す」との理念を持っています。課題を共有して一緒に考えてくれる市民、課題解決に向けて建設的な提言をしてくれる市民を増やすことが「自治体の責務」の一つだという確信があるからです。

 ただし、三鷹市に限らず、市役所の内部は本当に“個人情報の束”です。個人情報が外部に漏れないよう、適切なストッパーが、制度的にも技術的にも絶対必要です。国内基準のISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)Ver.2と国際基準のBS7799-2:2002認証の取得は、市のセキュリティ対策の象徴です。

 信頼できない市役所に対して、市民が意見を言うことは、ほとんどあり得ないことです。だから、市民の皆さんに信頼していただける自治体を、情報セキュリティのみならず、市政全体の運営の中で構築していくことが、電子自治体化のプロセスには欠かせない目標だと思います。

<ひとこと>

 「自分の意見が通らない悔しさ、議論が行き違いになって感情的になった痛み、そうしたことを職員も市民も専門家も感じた経験を経ないと、本当の納得には至らない」と、清原市長は言います。市長就任以前からずっと一市民として、あるいは研究者としてまちづくりに参加してきたからこそ言える言葉です。「だからこそリアルの場を重視する」という清原市長によるIT活用。新しい市民参加の形が期待できそうです。