■やる気のある人が必要ですから庁内から公募で人材を集めました
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福迫 それで、「やっぱりトップダウンでやる必要があるんじゃないか」という桂・前市長の意向があって、CIO直轄の、CRMの部隊を作って進めなさいということになりました。あくまでも企画調整局の中の情報化推進部の中にある「CRM担当」という組織なのですが、そこはある程度私の直轄でいこうということになりました。
──コールセンターの推進プロジェクトのスタッフは、庁内から公募で集めたと聞いています。公募は福迫さんのご発案なんですか。
福迫 市長と相談して、ぜひ公募でいこうということになりました。コールセンターは初めての試みですし、ずっと先の展開があるプロジェクトです。ですから、テクニックの問題ではなくて、やっぱり理念が大事ですので、やる気のある人材を集めなくてはなりません。もちろん当時の総務や人事などの責任者に了解をしてもらって、公募ということにしたわけです。
それともう一つ、システム監査を担当する係の人材も公募しました。これまで2年間で情報政策部門のシステム監査を行ってきました。この結果をもとに、今年度から本格的に運用コストの削減や調達ガイドブックの作成に取り組みます。
──昨年6月に市長が上田文雄氏に代わりました。またI T戦略も2003年度までの計画だったので、2004年度からは次のステップに入っていくことになります。今後のI T施策の方向性について教えてください。
福迫 新しい市長になってからは「さっぽろ元気ビジョン」という施政方針が策定されました。ここでは“市民参加型の行政”がこれまで以上に重視されています。
その中で市長は「3つのS」を強調しています。サービスのS、スリム化のS、スピードのSです。これはつまり業務の効率化だと思います。3S実現のためにITをツールとして活用するということについては、これはもう誰も異論はないと思います。
推進体制も新しくなります。これまで局長・区長で構成していた「IT推進会議」を部長で構成する会議にしました。横断的に広い範囲の部署の部長に入ってもらっています。
市長直轄の経営改革会議の決定を受けたら、即、現場のプロジェクトが動くようにするためです。「より市民に近いところで施策決定をしていく」という市長の理念の中から出てきたものです。「IT推進会議」のアドバイザリースタッフも、これまでは学識経験者が中心でしたが、今年度は実務系のコンサルタントに入ってもらい、テクニカルな面で具体的な助言をしてもらいます。
<ひとこと>
札幌市のコールセンターは、もともとは現場から上がってきたプロジェクトです。予算ゼロという財務局の査定を、CIOが交渉して予算を取り付けて実現したというエピソードを聞きました。こうした交渉は、権限を持ったCIOにしかできません。そして、権限を持っていても、理念・信念がなければそんな面倒なことはしないでしょう。インタビューは終始おだやかな受け答えの福迫氏でしたが、ITの重要性─市の政策実現のための重要ツールであるということ──について、言葉の端々から強い確信が感じられました。