----PR---------------------------------------------------------------------- 「電子自治体セミナー/市町村合併ITセミナー開催」主催:日立情報システムズ 【岡山】5/29岡山コンベンションセンター お申込 086(226)3372 【大阪】5/30大阪厚生年金会館 お申込 seminar-kansai@hitachijoho.com (参加料無料) その他、札幌、仙台、福岡で順次開催いたします。 お問い合せは 0120−346−401 または faindesk@hitachijoho.com ----------------------------------------------------------------------PR---- ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■ ╋BizTech Special【電子自治体】メール╋ 第16号 2003/5/22 ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━ 目 次 ━━━━━━━━━━━━━━┓ 【1】「本格的に動き始めた電子自治体」ウェブ新着ダイジェスト ── 用意周到なIT研修で電子自治体を推進(神奈川県横須賀市) ── コラム・使える電子申請を目指して 第2回 【2】電子自治体NEWSピックアップ 【3】ニュース解説:安延申の「注目NEWSのツボはココ」 ── 政府が「IT基本戦略」第2版の草案公表 【4】KEYWORD解説:「ユビキタス」 【5】コラム:橋本典明のIT化ってどういうコト? ── サイバーテロの脅威(6) 【6】注目のセミナー&イベント 【7】編集後記 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■ ┃【1】「本格的に動き始めた電子自治体」新着ダイジェスト ┃ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■ ───────────────────────────────────── ●用意周到なIT研修で電子自治体を推進(神奈川県横須賀市) 5月19日公開 ───────────────────────────────────── 既に多くメディアでレポートし尽くされている感もある横須賀市の事例だが、今回 あえて取り上げたのには、相応の理由がある。横須賀市では、IT化推進を始めた当初 から“先進的”と自他共に認められるようになった現在まで、常に計画的にIT研修プ ログラムを進化させてきているのだ。そして現在も、さらに先を見据えた研修プログ ラムを計画している。この研修プログラムの進化の過程を振り返ることで、IT化のた めの人材育成について、多くのヒントが発見できるのではないだろうか。 通常であれば、情報システムの利用者教育は、システム導入と並行させるか、場合 によってはシステム導入後に実施するところだ。しかし、横須賀市では、まず人作り を先に始めた。職員のIT研修を、システム導入に先立って開始したのである。1996年 4月に策定した市のIT化推進計画「よこすか情報フロンティアプラン」のリリースと ほぼ同時期のことだ。この時点では、市役所にはLANなどの情報基盤や財務会計シス テム、電子決裁はまだ導入されていない。これらが利用可能になったのは97年以降の ことである。 >詳しくはこちらをクリック http://premium.nikkeibp.co.jp/biz/e-gov/case27a.shtml ───────────────────────────────────── ●コラム・使える電子申請を目指して(牟田学) 5月12日公開 ───────────────────────────────────── ■第2回 稼働し始めた省庁・自治体の電子申請 本格的な電子申請がスタートすることとなっている今年2003年度は、まさに「電子 申請元年」と言える。今回は、現在稼動している電子申請(汎用電子申請システムと 電子入札)を中心に、その動向や課題を見ていくことにしよう。 ■汎用受付システムの構成と機能 電子申請システムは、市民と行政との間で、両者の満足を実現するための誠実で賢 い仲介者でなければならない。その基本構成は、大きく分けて3つに分かれている。 申請データの作成・送信、受付・審査といったシステムに必須な「基本機能」、利用 者の利便性を向上し、事務処理の効率化を助ける「付加サービス」、システムが有効 に稼動するために必要となる「基盤」の3つである。インターネットを利用した電子 申請では、幾つかの方式が見られるが、基本的な構成には大差がないと言ってよい。 各省庁では、電子署名等を利用した本格的なインターネット電子申請システムを稼 動させている(表1)。その多くは、申請・届出等手続のオンライン化に関わる汎用 受付等システムの基本的な仕様に基づく「汎用受付システム」と言われるものであ る。各種申請・届出等手続の一元的な窓口機能を持つシステムだ。 >コラムの続きはこちらをクリック http://premium.nikkeibp.co.jp/biz/e-gov/column8_2a.shtml ■━━━━━━━━━━━━━━━━━■ ┃ 【2】電子自治体NEWSピックアップ ┃ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━■ ───────────────────────────────────── ●主な電子自治体関連ニュース(2003.5.6-5.18) ───────────────────────────────────── ○目黒区役所の庁内ネットワークをLinuxで構築(2003/5/13、日本IBM) http://www-6.ibm.com/jp/NewsDB.nsf/2003/05132 ───────────────────────────────────── ○ITアウトソーシングの平均契約期間は6年、額は4700万ドル--米Gartner (2003/5/10、BizTech) http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/leaf/CID/onair/biztech/comp/245372 ───────────────────────────────────── ○日本HP、東京都杉並区の文書管理システムを受注 (2003/5/8、日本ヒューレット・パッカード) http://www.jpn.hp.com/info/pr/fy2003/fy03-094.htm ───────────────────────────────────── ○日本初の自治体コールセンター 市民サービス向上と業務効率化に効果 (2003/5/7、オニックス・ソフトウェア) http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=45809 ───────────────────────────────────── >そのほかのニュースはこちらをクリック http://premium.nikkeibp.co.jp/biz/e-gov/news.shtml ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■ ┃【3】安延申の「注目NEWSのツボはココ」 ┃ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■ ───────────────────────────────────── ○政府が「IT基本戦略」第2版の草案公表。 無線インターネットの促進を盛り込む(2003/5/16、ITPro) http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NCC/NEWS/20030516/1/ ───────────────────────────────────── 【ニュースの概要】 政府のIT戦略本部は5月15日,日本の情報化促進に関する国家戦略である「IT基本戦 略II」の草案を公表した。医療,中小企業金融,行政サービスなどの7分野で積極的 に活用することを重点的な目標に据えたものとなっている。 ───────────────────────────────────── 【このニュースのツボ】 政府は、さる5月15日にIT戦略本部を開催し、IT戦略の今後のあり方について、 「IT基本戦略?」を公表した。 ・IT戦略本部(第18回)議事次第 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai18/18gijisidai.html 政府のIT戦略については、e-Japan戦略だとか、e-Japan重点計画だとか、e-Japan プログラムだとか、あまりに色々な政策や計画が出てくるので、話を聞いている方も 混乱してしまうかもしれない。 実は最初のIT基本戦略、いわば「IT基本戦略?」は、2000年11月、現在のIT戦略本 部ができる前に、当時のIT戦略会議で決定され、2001年1月、IT戦略本部の発足と同 時に決定公表された「e-Japan戦略」の叩き台となったものである。その後、このe- Japan戦略を受けて、具体的な数値目標を定めた、「e-Japan重点計画」、更に、年度 毎の予算や政策とも連携した、年度毎の重点計画やプログラムが策定されている。そ の意味で、このIT基本戦略は、IT政策の大きな方向を定める、もっとも基本的な政策 指針であるとも言え、今後の国のIT政策は、これに従って展開される可能性が高い。 この「?」→「?」への進化を一言で言えば、インフラから利用への進化というこ とになろう。確かに日本は今やブロードバンド化では、世界の最先進国の一つであ り、政策の焦点をインフラ整備から利用に移すことは方向としては肯ける。こうした IT利用推進の重点分野として、医療、食、中小企業金融、行政サービスなどがあげら れているが、他方で「生活」とか「知」、「就労・労働」といった、かなり抽象的な 分野も掲げられており、何をするのか検討がつかない分野も多い。 少し気になるのは、例示として掲げられている項目が、「100%の国産牛の生産履 歴情報を確認できる体制整備」とか「IT遠隔教育を実施する大学学部・研究科を2005 年度までに2001年度の3倍に」とか、非常に個別具体的すぎることである。食の安全 が言われる中、トレーサビリティが重要なのは牛だけではないだろうし、中身が何で あろうと、ネットワーク経由で授業をすれば良いというものでもないだろう。日本の 行政の生真面目さは「一度決めたら何が何でもやり抜く」という硬直性にもつながる ことがある。住基ネットの騒動なども、それが原因となった面も否定はできず、方向 は正しいのであるから、後は柔軟な姿勢でIT政策が進められることを期待したい。 ───────────── 安延 申(やすのべ・しん) ───────────── 通商産業省(現 経済産業省)に勤務後、コンサルティング会社ヤス・ クリエイトを興す。現在はウッドランド社長、スタンフォード日本セン ター研究部門所長など、政策支援から経営コンサルティング、IT戦略コ ンサルティングまで幅広い領域で活動する。 ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■ ┃ 【4】e-Govキーワード解説 ユビキタス ┃ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■ ───────────────────────────────────── ●ユビキタス http://premium.nikkeibp.co.jp/biz/e-gov/key030.shtml ───────────────────────────────────── 現在、すでにユビキタス情報社会が到来しつつあるといわれます。ユビキタスと は、ラテン語に由来する英語(Ubiquitous)で、「至るところにある」「偏在する」と いう意味です。ゼロックスの研究グループの一員であったマーク・ワイザー氏が1991 年に発表した論文がきっかけとなり、ユビキタス・コンピューティング、ユビキタス ・ネットワークなど「ユビキタス」という言葉とそれに関連する概念が注目を集める ようになりましたが、ユビキタス情報社会もそのひとつです。 ユビキタス情報社会とは、(1)パソコンだけでなく情報家電、ゲーム機など身近 な機器、さらには家具や衣類など身の回りにあるものすべての中にコンピュータが入 り込むこと、そして(2)それらがすべてネットワークで接続されることによって実 現される社会のことです。 ユビキタス情報社会が実現すれば、私たちは、いつでも、どこでも必要な情報にア クセスし利用できるようになります。また、生活の隅々に情報が浸透することによっ て、より安全で便利な社会が実現することが期待されます。政府・公共部門も例外で はなく、電子政府はユビキタス情報社会を実現するための重要なインフラといえるで しょう。 現在、内閣府のIT戦略本部を検討が進められている、「e-Japan戦略」に続くわが 国の新しいIT戦略「IT基本戦略II」でも、ユビキタス情報社会を意識した仕組みが提 案されています。新戦略案では、医療、食、生活など、国民の身近な分野で、多くの 人々がメリットを実感できる形でのITの利活用が提案されており、例えば、「健康状 態に不安のある高齢者が意識しないでもセンサを通して継続的な在宅医療、在宅健康 管理が可能である」「意識しなくても、その時、その人にとって適切な温度・湿度が 自動的に実現される」「ICタグに食品の生産・加工・流通履歴情報を搭載し利用者が 確認可能にする」などのシーンが想定されています。 技術や制度がさらに整備されれば、「薬品の飲み合わせが悪い場合は自動的にアラ ームが出る」などといったシーンも考えられるかもしれません。こうした仕組みを実 現していくためには、交通、金融、産業など社会の各部門における情報化とネットワ ーク化が進展することが不可欠の条件です。 ■安定的な情報流通とプライバシー問題への対応が課題 ユビキタス情報社会のさきがけとなるような電子政府サービスも始まっています。 携帯電話対応のウェブサイトを運営する自治体はかなりの数に上ぼりますし、例えば 政府でも「小泉内閣メールマガジン」は携帯電話・PHS向けの配信も行っています。 コンビニエンスストアなどでの情報提供や施設予約を行っている千葉県市川市の事例 (360+5情報サポート)もよく知られた事例の一つです。 米国のバージニア州では、PDAなどのモバイル端末への情報提供サービスを行って おり、特に「ロビイスト・イン・ア・ボックス」と呼ばれるサービスでは、サービス 利用者一人あたり600ドルの登録料(但し、行政部門職員は400ドル、議員及びそのス タッフは無料)を払えば、提出されている法案に進捗があった場合、関連情報がPDA に送信されてくるようになっています。 ただし、本格的なユビキタス情報社会を迎えるには、大きくは二つの課題をクリア しなくてはなりません。第1に、安定的な情報の流通や管理がこれまで以上に要求さ れることです。ユビキタス情報社会においては、情報が社会の重要なインフラとなり ます。このため、何らかの理由で情報の流通や蓄積に障害が生じた場合の被害は、従 来に比べて格段に大きくなります。 第2に、プライバシー問題への対応です。ユビキタス情報社会では、利用者自身や 利用者の行動についての情報を蓄積・加工することによって、より的確にその人のニ ーズを把握し、その人にあったサービスを提供することが可能になります。これは逆 にいえば、個人の行動の監視や、個人情報の目的外利用も容易になるということを意 味します。 情報インフラの安定性確保やプライバシー保護が実現して初めて、真に安全で快適 なユビキタス情報社会が実現されるといえます。電子政府においてもこれらの課題へ の適切な対応が一層求められるようになるでしょう。 日立総合計画研究所・編 >「e-Govキーワード」バックナンバーはこちらをクリック http://premium.nikkeibp.co.jp/biz/e-gov/keyword.shtml ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■ ┃【5】コラム:橋本典明のIT化ってどういうコト? ┃ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■ ───────────────────────────────────── 第16回 サイバーテロの脅威(6) 防御困難なDoS攻撃 その2 ───────────────────────────────────── 前回説明した通り、本人認証システムは、ユーザーの生命を危機にさらす可能性が ある。サイバーテロを企てようと目論む犯罪者は、当該接続端末の操作権限のある正 規ユーザーを拉致するなどして、思い通りに支配しようとするかもしれないからだ。 ユーザーの生命を危機にさらすことなく、それでいて“匿名性の排除”が確実に遂行 できるシステムは可能なのか。今回からは、それを考えてみたい。 ────────────── Ping of Death ────────────── その前に、まずは問題の発端であるDoS攻撃のメカニズムについて、さらに詳細に 見てみよう。この種の攻撃手法において最も特徴的なのは、攻撃を行う際、犯罪者た ちは必ず最初にネットワーク上の“電子指紋”と言うべき、自らの送信元IPアドレス (注1)を改ざんしてしまう点にある。DoS攻撃として最も古典的な“Ping of Death ”を題材に、なぜ彼らがIPアドレスを改ざんするのかを説明したい。 “Ping”というコマンドを悪用し、端末側で処理不可能な大量のデータを当該端末 に送りつけるのが、この“Ping of Death”だが、もしIPアドレスを改ざんせずに攻 撃した場合、(当該端末機能停止寸前までの)関連端末などの通信記録(=ログ)を 徹底的に調べ上げれば、必ず犯人の身元は判明する。彼らは自らの身元隠蔽のため に、送信元IPアドレスの改ざんを行うのである。 注1:インターネット接続を行う際、最初に接続する接続仲介事業者(ほとんど の場合、自らの契約プロバイダ)から、接続する当該端末に割り振られる (インターネット通信に必要不可欠な)IPアドレスのことである。ただし、 これは必ずしも接続時に割り振られるわけではなく、事前に割り振られる こともある。また割り振られるIPアドレスには“グローバル”と(自組織 の管理者側によって割り振られる)“プライベート”の二種類がある。 ────────────── SYN flooding ────────────── だがDoS攻撃を企てる犯罪者たちが、俗に“IP Spoofing”と呼ばれる送信元IPアド レス改ざんを行うのは、実は「捕まりたくない」などという低次元な動機からだけで はない。今度は(TCP、IP に基づくインターネット通信に使われる)“3 ウェイ・ハ ンドシェイク”(注2)という通信手順を悪用した“SYN flooding”なるDoS攻撃の一 手法を題材に、もう一つの理由を説明したい。 まず、この“SYN flooding”とは攻撃対象となる端末に対して、インターネット上 に存在しないIPアドレスに改ざんした送信元IPアドレスを持つ“SYN”(接続要求) パケットを大量に送りつける攻撃手法だが、この場合、送信元IPアドレスの改ざんは 身元隠匿のためというよりも、むしろ攻撃そのものを成立させるために必要不可欠な 作業だと言うことができる(詳しくは注3を参照)。なお“SYN flooding”の攻撃手 法は前述のとおり、“3 ウェイ・ハンドシェイク”というインターネット接続特有の 通信手順を悪用したもので、だからこそ(通常の接続プロトコルに則った手順を踏ん でいることから)それだけをチェックして悪意があるか、否かを判断することは極め て難しく、これが(“SYN flooding”などの)DoS攻撃の防御を困難にしている理由 なのだ。 加えて、確かに既存の攻撃(ここでは“SYN flooding ”)は攻撃手法が分かって いることから事前の防御対策(防御パッチ・プログラムの実装、および不正パケット を通さないパケット・フィルタリングの設定等々)を施せば、ある程度までは防ぐこ とができなくはないが、攻撃自体が身元隠蔽も可能にする送信元IPアドレスを改ざん した上での犯行であることから、(もし攻撃を受ければ)追跡不可能であるという点 でもDoS攻撃は極めて危険な攻撃手法なのである。 注2:TCPによるインターネット通信の世界では、最初にクライアント側端末が サーバー側端末に対して“SYN(接続要求/接続しても大丈夫ですか)” パケットを送信する。すると受け取ったサーバー側端末が、(その接続要 求に応えられる場合)“ACK+SYN(肯定(応答確認)/大丈夫ですよ+ (サーバー側からクライアント側への)接続要求)”パケットを返信する。 そして、それを受け取ったクライアント側端末が再度、“ACK(肯定/では 接続します)”パケットを送信し、この都合三回のやり取り(コネクショ ン確立)の後、実際のデータ通信が始まる。この通信手順を“3 ウェイ・ ハンドシェイク”と呼んでいる。 注3:インターネット上のサーバー側端末というのは、クライアント側端末からの 最後の“ACK”を受け取るまで通信が始められない(コネクションが確立で きない)というシステム上の特性を持っているのだが、“SYN flooding ” はその特性、および“3 ウェイ・ハンドシェイク”を悪用し、サーバー側 端末を攻撃する。具体的には、まず攻撃(クライアント)側端末から攻撃 対象となるサーバー側端末に、送信元IPアドレスをインターネット上に存在 しないIPアドレスに改ざんした“SYN”パケットを送信することで、当該 サーバー側端末からの“ACK+SYN”パケットがクライアント側端末に絶対に 届かないようにする。そして、この中途半端な“SYN”パケットを大量に 送りつけることで当該サーバーのバッファを一杯にし(なぜなら“ACK+ SYN”に続く、クライアント側端末からの最後の“ACK”を受け取るまで、 サーバー側端末は自らのバッファ・メモリ上に確保したクライアント側端末 からの最初の“SYN”情報を蓄積しておくためのメモリ領域を解放できない ため、そうなる)、当該サーバーに他のクライアント端末からの“SYN”パ ケットを受け付けなくさせるのである。 ────────────── DoS攻撃に要注意 ────────────── 話しを戻そう。ここ数年、犯罪者たちが多用するDoS攻撃の手法は“land”(注 4)、“smurf”(注5)、“SN (Sequence Number) guessing”(注6)、“snork” (注7)、および“TearDrop / Bonk / Boink”(注8)などであるが、これらはすべ て“SYN flooding”と同様、攻撃開始時にまず自らの送信元IPアドレスを改ざんした 上で、“3 ウェイ・ハンドシェイク”などのインターネット接続特有の通信手順等々 を悪用するため、(これも“SYN flooding”と全く同じく)アクセス手順等だけで悪 意があるか、否かを判断することは難しく、かつ攻撃を受けても犯人を追跡すること すらできない。さらに、もう一点。ここに挙げた攻撃手法は、すべてサーバー端末に 対するものばかりだが、実はDoS攻撃にはネットワークの要と言える“ルーター”に 対する攻撃も多々ある。しかしながらルーター端末への攻撃は、サーバーへの攻撃と は全く比較にならないほど、ネットワークに甚大な被害を及ぼすため、(文章にする と面白半分に真似する輩もいないとは言えないので)ここではあえて割愛する。とは いえ、実際の現場ではDoS攻撃に対する警戒心はまだまだ薄く(注9)、未だにサイバ ーテロの話になると“エリジブル・レシーバ(注10)”を引き合いに出し、“不正侵 入”行為に関する対策の方に多くの関係者の目は奪われがちである。 注4:送信元と送信先を全く同じIPアドレスに改ざんした“SYN”パケットを大量 に送りつけ、攻撃対象となるサーバー端末を(無限ループ状態に陥らせる などして)システムダウンさせる。 注5:送信元IPアドレスを改ざんした(“Ping”パケットとして知られる)“ICMP echo request”パケットを任意の中継サイト経由で送りつけ、攻撃対象と なるサーバー端末の停止や(当該端末が属する)サイト内ネットワークの 渋滞を企てる。ちなみに本攻撃プログラムのひとつが“smurf”と呼ばれて いることから、こう命名された。 注6:送信元IPアドレスを、攻撃対象となるサーバー端末にアクセス許可がある IPアドレスに改ざんすることで、全ての認証プロセスを省略して当該 サーバーに不正侵入し、不法プログラムなどを送りつける。 注7:攻撃対象となるサーバー端末のUDPポート番号135に、もう一つの攻撃対 象となる別のサーバー端末からであるように送信元IPアドレスを改ざん して“RPC”パケットを送信し、互いに“RPCエラーメッセージ”を送信 し合うように二つの当該サーバー端末をだますことで、攻撃対象となる サーバー端末の停止や(当該各々の端末が属する)サイト内ネットワーク の渋滞を企てる。 注8:同一内容、あるいはフラグメント・オフセット値が重複(フラグメント・ オーバーラップ)するように改ざんしたIPフラグメント・パケットを大量に 送りつけ、(攻撃対象となるサーバー端末側でのIP フラグメント再構成時 に障害を起こさせることで)当該サーバー端末のシステムダウンを企てる。 注9:世界規模で見ても、現在、NTTが研究開発を進めている“Moving Firewall” (http://www.ntt.co.jp/news/news03/0302/030218.htmlを参照のこと) くらいしか確実なDDoS(Distributed Denial of Service)攻撃(DoS攻撃 の中でも特に防御困難な攻撃手法)対策システムは存在しないというのが 現状である。 注10:1997年にアメリカ国防総省が行った、サイバー戦争シミュレーションの 名称。 具体的には同国国家安全保障関連の機関に所属する(三十人の職 員で編成された)特別チームが、以下の四つの条件のもと、同国内のあら ゆるネットワークに不正侵入し、二つの課題に挑戦した。 条件1:攻撃期間は、三カ月間。 条件2:自機関で知り得た(一般では知り得ない)特殊な知識は一切、 使わない。 条件3:攻撃に使用できる機材は、市販品のみ。 条件4:ネットワークへのアクセスは、商用ISPからのみ。 課題1:同国内のすべての(電力会社などの)電源、および通信会社など の通信システムを遮断する。 課題2:国防総省内の機密データベースにアクセスする。 結果、当該チームはすべての課題をクリアし、極めて小規模(三十人)、 かつローテク(市販品のみ)な部隊でも、国家(アメリカ)対して戦争に 勝利できる可能性があるということが証明された。 テクニカル的な注が長くなってしまったが、ここでもう一度、話を元に戻し、DoS 攻撃に対する防御策について具体的に考えたいのだが、残念ながら字数が尽きた。次 回は、今回紹介したDoS攻撃の特徴を逆手に取った新たな防御システムの在り方につ いて、詳しく書いてみたい。 ──────────────── 橋本 典明(はしもと・のりあき) ──────────────── ジャーナリスト、メディア評論家。(学)東放学園講師、武蔵野美術大 学特別講師、東京大学大学院社会情報研究所講師、早稲田大学講師、米 国パンアムサット社技術コンサルタント、ブレークモア法律事務所顧問 など多方面で活動。旧通産省、郵政省のニューメディア関連委員会委員 を歴任。 ■━━━━━━━━━━━━━━━■ ┃【6】注目のセミナー&イベント ┃ ■━━━━━━━━━━━━━━━■ ───────────────────────────────────── ●平成14度研究開発成果説明会 http://www.lasdec.nippon-net.ne.jp/rdd/seikaH15/index.html ───────────────────────────────────── 【日程】2003年6月6日(金) 【会場】チサンホテル新大阪(大阪府大阪市) 【主催】財団法人地方自治情報センター 【概要】「電子自治体時代の広域行政サービス実現に関する調査研究」(川西市)、 「地方公共団体における次世代(三次元)GISの活用について」(西宮市)など4 自治体の共同研究・調査事業に関する研究開発成果と、財団法人地方自治情報センタ ーが行った調査研究を報告。 ───────────────────────────────────── ●日本セキュリティ・マネジメント学会(JSSM)第17回全国大会 http://www.jssm.net/jssm/jssm04.html ───────────────────────────────────── 【日程】2003年6月7日(土) 【会場】東京経済大学 国分寺校舎(東京都国分寺市) 【主催】日本セキュリティ・マネジメント学会 【概要】「セキュリティ・マネジメントの浸透に向けて」という統一テーマの下に、 学界、産業界を代表する講師の特別講演と12の分科会報告を実地。基調講演は黒川恒 雄氏(國學院大学/日本セキュリティ・マネジメント学会副会長)の『新しい情報シ ステム教育カリキュラムとIT人材の育成』。 >そのほかのイベント・セミナー情報はこちらをクリック http://premium.nikkeibp.co.jp/biz/e-gov/event01.shtml ■━━━━━━━■ ┃【7】編集後記 ┃ ■━━━━━━━■ ◆「何かよい方法はないか、ということで、ベンダー何社かにシステムを提案させる という企業が多いわけですが、そのベンダー何社かの提案の中に、ベストのものがあ るとは限らない」──あるパネルディスカッションで聞いた、フューチャーシステム コンサルティングの金丸恭文社長の発言(大意)です。確かにその通りです。となる と、発注者側は、自らの理想とするシステムについての要求をベンダーにうまく伝え なくてはなりません。そのための人材を内部で育成するか、外から招き入れるか、あ るいは割り切ってベンダー任せにするか。悩ましいところです。(黒田) ◆「五月晴れ」という言葉がありますが、今年は全国的に見ても、妙に雨の多い5月 となっております(これから一週間は、ほとんどの地域で晴れるようですが)。私の 場合、ノートパソコンを持ち歩いているので、雨で荷物が濡れてしまうことにナーバ スになっており、来月には梅雨を迎えるかと思うと憂鬱でなりません。そういえば去 年の夏に、急な土砂降りでうっかり携帯電話を濡らしてしまい、端末が使えなくなっ たことがありましたっけ。雨が少ないと水不足などの心配があることもわかっている のですが、朝起きて雨模様だと心がブルーになりがちです。(山田) ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■ ◆このメールは等幅フォントでご覧いただくことを推奨いたします。 ◆内容・記事に対するお問い合わせや、ご意見、ご感想、ご希望等は http://itpro.nikkeibp.co.jp/ask_pass/ へ ◆登録内容の変更や配信停止は http://passport.nikkeibp.co.jp/bizmail/ をご参照下さい。なお、変更・追加等の際には、登録時にご指定いただいたユーザ ーIDとパスワードが必要です。ユーザーIDとパスワードが分からない場合は、 https://passport.nikkeibp.co.jp/bizpwd/search_pass/index.html でお調べ下さ い。その他不明な点は Mailto:ngtsc2@nikkeibp.co.jp までお問い合わせ下さい。 ◆広告掲載のお問い合わせは http://adweb.nikkeibp.co.jp/adweb/web.html へ ◆著作権は日経BP社もしくは情報提供者に帰属します。掲載記事を許可なく転載す ることを禁じます。配信されたメールを第三者に転送したり、ウェブサイトにアッ プするなど、メールの再配信はお断りします。 ◆日経BPガバメントテクノロジー・メール バックナンバー 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vol.16
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