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■参加の度合いは町内会によって温度差が

 これまでの電子町内会の活動を数字の面から見ると、まだまだ物足りないと言わざるを得ない。

 岡山市内には85の連合町内会(小学校区内にある町内会が集まった組織)、1578の単位町内会(一つの地域ごとの町内会)がある。そのうち電子町内会に参加しているのは連合町内会11、単位町内会17に過ぎない。会員数は28町内会を合わせて1537人。岡山市の世帯数(約25万4000人)の0.6%弱。電子町内会の組織率(電子町内会に参加している町内会の世帯数から見た電子町内会の会員数比率)は4%に留まっている(2004年1月15日時点)。

■電子町内会数と会員数の推移

年月日 町内会数 会員数 備考
平成14年3月26日 7町内会 287人 1次モデルスタート
平成14年12月末 7町内会 354人
平成15年1月27日 18町内会 836人 2次モデルスタート
平成15年2月17日 20町内会 951人 2電子町内会スタート
平成15年4月末 20町内会 969人
平成15年7月末 20町内会 1034人
平成15年8月 23町内会 1046人 7月期電子町内会指定
平成15年11月 28町内会 1157人 10月期電子町内会指定
(市内連合町内会数:85 単位町内会数1578のうち、11連合町内会及び17単位町内会を電子町内会に指定)

 アクセスデータを見てみよう。2004年2月の実績を見てみると、月刊平均アクセス数は1町内会当たり約760回、会員ページの書き込み数は1町内会平均約23件だ。書き込み件数は悪くない数字のようにも見えるが、これは50件以上書き込みがある上位町内会が引き上げた数字だ。28町内会のうち、1件も書き込みのない町内会が7団体、10件未満の町内会も7団体ある。活発な電子町内会と、そうでない団体との“温度差”は、かなりある。

■電子町内会というツールが、リアルの場での交流を加速

植月康之氏
岡山市市民局市民総務課
総務係主事  植月康之氏

 とはいえ、 個別の電子町内会の活動では、具体的な成果も上がっている。歩こう会やゴルフコンペなどのサークルが電子町内会での呼びかけをきっかけに結成されたり、地域の問題を自分たちで解決しようという動きも現れている。例えば、電子町内会の掲示板に書き込まれた「公園の桜の木に毛虫が大量発生している」という書き込みに対して、町内衛生担当者がその日の内に対応、さらに後日、町内会の会合で話し合いの結果、町内各地の殺虫作業が自主的に行われたということもあったという。

 このように、電子町内会をきっかけにして、リアルの場での交流が進んだケースがいくつか出てきている。「実際の町内会活動で、奉仕的に『町内のためなら』と動いてくれる人がいるところは、電子町内会の活動もうまくいっている傾向があります」と岡山市市民局市民総務課総務係主事の植月康之氏は分析する。もちろん、バーチャルな交流の場というより、むしろリアルな場での活動を加速させるツールとして、電子町内会は効果的だと言えそうだ。