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シンポジウムの様子
シンポジウムの様子

 3月5日に有楽町朝日ホール(東京都千代田区)で開催された『モバイル社会シンポジウム2005』(主催:NTTドコモ モバイル社会研究所)で、東洋大学社会学部教授の中村功氏は、消防局の携帯利用、新潟県中越地震直後の接続状況など、災害時の携帯メディア利用に関するいくつかの調査結果を発表した。携帯電話が既に基幹のライフラインとなっている実態が明らかになった。(セッション「災害時における携帯メディアの問題点」)。

 まず、消防局の災害時意外なほど災害時の連絡に携帯電話を利用していたことが分かった。例えば、救急隊−病院間は94.9%が携帯電話を利用、他の手段(一般固定電話、災害時優先電話、消防無線、防災行政無線、その他)は多くて10%台にとどまっている。救急隊−消防本部間も87.8%が携帯電話を使用しており、これは消防無線に次ぐ利用率だ。また、携帯の不通で9割近い消防署が「問題が生じる」と回答した。

 通信手段としての携帯メールの有効性も確認された。新潟県十日町市で実施した調査によると、新潟県中越地震直後に携帯メールが「すぐにつながり問題なく使えた」「つながりにくかったが、使えた」という人は合わせて75.2%だった。他の手段を見てみると、公衆電話53.9%、携帯音声36.1%、固定電話16.1%、IP電話0%(停電のためと推定)だった。

■災害伝言板の認知度はまだ低い

 一方で、iモード用災害伝言板は、あまり利用されていない実態も明らかになった。新潟中越地震でiモード用災害伝言板を使った人は1.6%。知らなかった人は84.1%、知っているが使わなかった人は14.3%にものぼった。使わなかった理由としては「メールが使えたから」「存在を知らなかった」「相手が使うとは思えなかった」という回答が多かった。

 中村教授は、携帯メディアの今後の課題として「被災地内の利用が少ない」「利用者のバッテリー対策」などを挙げた。

 プログラム後半は、携帯メールで災害情報を配信している茨城県つくば市から企画部情報政策課課長補佐の飯泉憲好氏、被災情報や避難所での安否情報の収集・発信をIT化した横須賀市から消防局防災課長の丸茂勝美氏を招いてパネルディスカッションが行われた。

 「配信するメールの真正性を示すため、メールにはURLが記してある。このURLにはメールと同じ文面の災害情報を掲載すしてあるので、利用者は情報の出所を確認できる」(つくば市の飯泉氏)、「情報はインターネットでだけ見せるのではなく、緊急時には避難所に集まった市民に情報を伝達する係の担当職員を必ず置く組織体制としている」(横須賀市の丸茂氏)など、現場での運用体制が報告された。

(黒田隆明)