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文・古賀雅隆(日経BPコンサルティング調査第三部チーフコンサルタント)

柏崎市トップページ
 
柏崎市のサイト。市のガイドラインに沿ったWebページが、制作からアップロードまで簡単にできるようにシステム化している。
 

 今回は「自治体サイト・ユーザビリティ調査2003」でトップのスコアだった柏崎市を取り上げる。

 柏崎市では、明文化されたサイト制作のガイドラインも持ち、利用者の立場でサイトを作っているという。このガイドラインに沿ってWebページの制作からアップロードまでをシステム化し、職員だれでもがワープロ感覚でコンテンツをアップできるようにしている。その結果、管理が容易になっただけでなく、使い勝手もかなりよいホームページとなった。

 柏崎市のホームページで特徴的なのは、なんと言ってもグローバルナビゲーションバー(サイト全体に渡って内容・形・位置を同一形式で示した共通メニュー)の存在だ。どのコンテンツページを開いても、同じ位置に同じ内容のナビゲーションメニューがある。自治体サイトとしてはもちろん、ここまで徹底できているサイトは非常に珍しい。

 また、ページ見出しは簡潔に、各ページ左上部の決まった位置に現れ、ビジターは自分が求める情報かどうかがすぐに分かる。さらに、サイト内の現在位置を示すナビゲーションガイドや、検索機能の設置、カスタマイズ機能(マイページ)など、ビジター(サイト訪問者)が市のサイトを“使う”ための要素がそろっている。

 メーンターゲットが柏崎市民であることは、トップページを見れば一目瞭然だ。情報を、部署・部局単位での分類ではなく、市民生活の視点に立って探しやすく分類し、リンクを用意しているからコンテンツへアクセスしやすい。担当者によると「市内に住む20代~30代の女性をターゲットに、生活情報別に使えるサイトを作るという目的でサイトを構築した」という。

 トップページの左上部からアクセスする「マイページ」機能も、Webサイトを活用してもらう上では便利な機能だ。自分がよく使うコンテンツが決まっていれば、そのページから入って行けるので、いちいちリンクをたどらなくても目的のコンテンツにたどり着きやすくなる。

■プライバシーポリシー掲載するも、改良の余地あり

 「個人情報利用規定」をどのページからでも見られるようにしている点も評価できる。ここをクリックすれば、サイトにおけるプライバシーポリシーが書かれているコンテンツページにたどりつけることは明白だ。

個人情報利用規定部分の画像
プライバシーポリシーを記載してある「個人情報利用規定」は、どのページにアクセスしても右下にリンクがあるので分かりやすい。

 しかし「個人情報利用規定」の内容はまだまだ不備があり、ビジターは安心できない。

 例えば個人情報の利用に対する、同意/拒否の意思表示方法がそのひとつだ。「個人情報利用規定」には「柏崎市にご提供いただいたすべての個人情報は、本人の同意なしに第三者へ公開または提供されることはありません。」と明記されているが、個人情報の入力フォームには、第三者への提供に同意するかどうかの意思表示ができるようになっていない。

 この不備は、入力フォームの末尾にでも同意するかどうかを選択するラジオボタンをつけるなど、若干の修正をすれば解決できる。

 また個人情報の管理体制や管理方法、セキュリティについて、まったく触れられていない点も、ビジターに十分な安心感を与えられない原因のひとつだ。集めた個人情報の利用者権限は誰が持ち、どこの部署が責任を持って管理するのかは明らかにしたい。 またデータ送信時の暗号化や、どんな管理を行っているのかも明確にすべきだろう。

 プライバシーポリシーに関する疑問や不安を抱いたビジターが、質問を投げかけられる専用の窓口も欲しい。窓口は当然、Webサイトで集めた個人情報の管理を行っている担当者となる。

■コンテンツを反映させたリンク名を

 トップページに配されているリンク名も、かなり分かりやすい。たまたまこのコラムを書いている1月8日の「新着情報」にあった「日吉保育園 クッキー作り」「日吉保育園 お楽しみ会」などは、期待したコンテンツにダイレクトにリンクする。ただし、中には分かりにくいリンク名もあった。ここでは「市民課」というリンク名がいただけない。

新着情報部分の画像
「新着情報」のタイトルはほとんどリンク先の内容を反映したものだったが、一部分かりにくいものもあった。

 おそらく「市民課」のサイトが新規に開設されたか、新しい情報が公開されたのだろうが、これでは何が新着情報なのか、まったく分からない。期待を抱けないままにこの「新着情報」にある「市民課」というリンクをクリックしてみたが、結局、何が新着情報なのか最後まで分からなかった。

 企業サイトの診断時にはよく指摘するのだが、リンクを用意した場合にはその受け皿が必要だ。ニュースなどのリンクをクリックするビジターは、そのニュースに関する情報を知りたいからクリックする。リンクは、単に関連ページに飛ばせばいいわけではなく、リンク先で目的のコンテンツを探しやすくしておかなければならない。

 こういった視点を持つことは、自治体や官公庁のサイトでも大切なことだろう。柏崎市のサイトはユーザビリティ上のレベルが高いので、細かい点についてかなり厳しい指摘をしたが、自治体サイトに対する市民の期待が高まってきているだけに、自治体側も期待に応えていってほしい。

古賀氏写真 筆者紹介 古賀雅隆(こが・まさたか)

日経BPコンサルティング調査第三部チーフコンサルタント。官公庁、企業のウェブサイトのユーザビリティ、アクセシビリティに関するコンサルティングを手掛けている。『ネット広告ソリューション』(日経BP社)、『戦略ウェブサイト構築法』(日経BP社)などインターネットの戦略的活用法についての書籍やCD-ROMの編集も担当。