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文・古賀雅隆(日経BPコンサルティング調査第三部チーフコンサルタント)

札幌市のサイト
札幌市のサイト(トップページ)。右上に配置した「くらしのインデックス」が便利。
 政令指定都市は、使い勝手に工夫をこらし、比較的優れたWebサイトを持っているところが多い。今回は2003年夏の調査時点で、政令指定都市の中で第2位のスコアだった札幌市を取り上げたい。

 札幌市のサイトの特徴は、「くらしのインデックス」と名付けられた一般市民向けのリンクを目立つところに置いてある点だ。「くらす」「働く」「あそぶ」「まなぶ」「ふれあう」という5つのメニューが並び、生活の各シーン別に分類したコンテンツを探せるようになっている。部署ごとではなく、市民のニーズに合わせたコンテンツへの入り口を示そうという姿勢が現れている。

 この「くらしのインデックス」をはじめ、説明が必要になりそうなリンク名には補足説明が付いている点も、使いやすさにつながっている(「くらしのインデックス」は各アイコンにマウスを置くと中央に説明文が出てくるようになっている)。リンク名だけではリンク先の内容が分かりにくいこともあるが、補足説明を付けることでビジター(サイト訪問者)はリンク先のコンテンツを予測しやすくなる。

 サイト検索機能やサイトマップへのリンクも分かりやすい位置にあり、背景色に対して見やすいフォントカラーの設定がなされている点や、プラグインが必要なページには代替ページを用意している点、情報の区分を色だけに頼らずテキストも添えている点などもいい。

 しかし改良すべき点はある。

くらしのインデックス画像
くらしのインデックスの画像にはALT属性がないので、音声ブラウザー利用者には不親切だ。
 「くらしのインデックス」は確かに便利だが、アイコンの画像にはALT属性がないので、音声ブラウザー利用者は補足説明なしに使わなくてはならない点に問題がある。

また、項目の分類に一部分かりにくいところがある。例えば、「くらしのインデックス」の一項目である「ふれあう」の中の「お祭り」というジャンルには、「札幌観光ガイド」というコンテンツだけが入っている。このコンテンツは札幌在住市民以外の観光客を対象としていると思われ、「くらしのインデックス」には馴染まない。札幌市役所でホームページを預かる広報部広報課でも整合性に問題がある点は認識しており、「実際に分類に当てはまらないコンテンツもある。今後インデックスのジャンルも見直す必要がありそう」と話している。

■ナビゲーションが難しい政令市ならではの二重構造

 全ページに共通したナビゲーションがない点も使い勝手を悪くしている。コンテンツごとにページを自由に作っているため、トップページへのリンク名も「トップページ」「ホーム」などの呼称が混在しているほか、同じ「HOME」「TOP」というリンクをクリックしても別のサイトのトップページに飛んでしまい、札幌市のトップページに戻れないこともある。

トップページへのリンク画像
札幌市のトップページへのリンクはいろいろな呼称がある(左)。右は飛び先がまちまちな「HOME」「TOP」というリンクの例(上から,水道局,下水道局,消防局)。

 サイト内で迷ったとき、別の情報を探したいときなど、ビジターはトップページに向かうことが多い。トップページへ行けないと、ビジターはそのサイトの利用をあきらめ、ほかのサイトへ出て行ってしまいがちだ。せっかく訪れたビジターをむざむざほかのサイトに向かわせてはもったいない。

 トップページへのリンクは、目立つ位置に用意し、さらにサイトロゴにもリンクを張りたい。しかしコンテンツによっては「札幌市」の名称もサイトロゴも提示されていないため、トップページへ向かうどころか、どこの市役所のコンテンツなのかすらも分かりにくいものがある。

 さらに政令指定都市ならではの悩みもある。市役所のページの下に各区役所のホームページが存在する点だ。市民の届け出や申請、健康関連など生活に密着した内容は各区役所が担当する事項も多い。このため「くらす」メニューを選ぶと各区役所のトップページへのリンクが用意されているが、 一部のコンテンツでは、「くらす」の中の具体的なメニューを選んだ先で、もう一度区役所のサイトの中で目的のコンテンツを探さなくてはならなかった。

市役所と区役所の二重構造になっている画面
市役所と区役所の二重構造はビジターを惑わせる。

 こういった二重構造は、サイトユーザーにとって混乱要因でしかない。市役所、区役所いずれからも求める情報にアクセスできるように、入り口を複数用意することは大切だが、コンテンツを探すときにどこから入ればいいのかを迷わせる作りには改良が必要だ。


古賀氏写真 筆者紹介 古賀雅隆(こが・まさたか)

日経BPコンサルティング調査第三部チーフコンサルタント。官公庁、企業のウェブサイトのユーザビリティ、アクセシビリティに関するコンサルティングを手掛けている。『ネット広告ソリューション』(日経BP社)、『戦略ウェブサイト構築法』(日経BP社)などインターネットの戦略的活用法についての書籍やCD-ROMの編集も担当。