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日立総合計画研究所・編

 市町村合併は、2つ以上の市町村を合体させて新しい1つの市町村にする(新設合併)か、ある市町村を他の市町村に編入する(編入合併)ことによって、市町村という行政組織の統合・再編成を図ろうとするものです。

  21世紀の市町村合併を考える国民協議会のサイトへ
  総務省のサイトのほか、「21世紀の市町村合併を考える国民協議会」のサイト(画像)でも、市町村合併に関する情報が豊富に掲載されている。
 
 わが国では1965年に「市町村の合併の特例に関する法律(市町村合併特例法)」を施行して以来、同法の期限延長・改正を繰り返しながら、継続的に市町村合併を推進してきました。その後、2000年12月に閣議決定された行政改革大綱において、「市町村合併後の自治体数を1000を目標とする」という具体的方針が示されたことを契機として、市町村合併の動きが加速しています。市町村合併を支援する体制も整えられ、総務省はホームページ上に合併相談コーナーを開設して、幅広く情報を提供、内閣に設置された市町村合併支援本部では市町村合併支援プランの拡充や関係省庁間の連携を図っています。

 さらに、市町村合併特例法の期限である2005年3月までに合併した市町村には、様々な財政優遇措置が与えられます。例えば、現在、国が段階的に削減しようとしている地方交付税については、合併後10年間は合併前に受け取っていた金額が保証されるという措置が取られます(合併算定替)。また、合併後10年間は合併特例債によって、有利な条件(対象事業費の95%まで起債が可能で、償還時には70%が国からの地方交付税で賄える)で資金調達が可能となる点も、地方自治体にとっては大きなインセンティブになるでしょう。


合併に伴う情報システム統合には、業務の見直しも必要
 
 このように国が積極的に市町村合併を推進している背景には、国・地方ともに財政が著しく悪化している中で行政サービスの水準を維持していくには、市町村の数を減らすことによって行政の効率化を図らざるを得ないという事情があります。また、地方分権の推進には、市町村の自治能力向上が欠かせませんが、そのためには一定の財政規模を確保することが必要となることも理由として挙げられるでしょう。現在、全国の市町村の過半数が合併協議会を組織して合併の可能性を検討しており、「平成の大合併」と呼ばれる合併ブームが到来しています。その一方で、「財政状況の悪い市町村との合併は、自市町村の財政を悪化させる」、「中心部に機能が集中し、周辺部はさびれるなど、域内格差が広がる」といった理由から、合併に消極的な市町村も存在します。

 過去にも「明治の合併」や「昭和の合併」と呼ばれる合併ブームがありました。ただし、今回の平成の大合併に関しては、これまでの合併には存在しなかった大きな問題を考慮しなければなりません。それは情報システムの統合です。現在、地方自治体では、(1)住民記録、税などの住民サービス系システム、(2)財務会計、人事給与などの内部事務系システム、(3)さらにグループウエア、ネットワークなどの非定型業務向けシステムなど、情報システムが行政運営に深く浸透しています。市町村合併の際には、それらの情報システムの統合が住民サービスに影響を及ぼさないようにする必要があります。

 組織の合併に伴う情報システム統合にあたっては、膨大な作業が発生します。主な項目だけでも、統合計画の策定、統合方式の検討、システム開発、データ移行、職員の操作研修などが挙げられます。総務省の市町村合併法定協議会運営マニュアルでは、合併協議会の開催期間として20カ月を提案していますが、そのうち情報システムの統合準備作業には6カ月しか割り当てられていません。しかし、情報システムの統合に関しては、合併決定の時点から十分な検討期間を設け、起こりうる問題点を事前に洗い出し、対応方法を取り決めておくことが合併後の混乱を回避するために必要といえるでしょう。

 また、情報システムの統合に関しては、技術面からの検討に加えて、各市町村の行政手続の標準化といった業務面からの検討も必要となります。情報システムの統合を契機に、業務の見直し(BPR)を行い、業務プロセスを簡素化するとともに、アウトソーシングの推進などによって業務効率や行政サービスの更なる向上を実現していくことも期待されます。