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日立総合計画研究所・編

 電子調達とは、従来の紙による公示、入札、開示を、ネットワークを利用した電子データに転換することです。国土交通省は、建設CALS(生産・調達・運用支援統合情報システム)/EC(電子商取引システム)を用いて、2001年度から同省の直轄の工事について「電子入札コアシステム」による電子入札を一部導入しました。

 2003年度には、すべての直轄工事、コンサルタント業務の約4万件を対象にする計画です。これまで公共工事の入札は、業者が会場に集まり、入札金額を書き込んだ紙を封筒に入れてきましたが、電子入札を導入するとこれらのプロセスはすべて電子化され、受注を希望する事業者は入札を行う工事事務所などに出向く必要がなくなります。

 建設CALS・ECは、地方自治体でも利用可能となるため、順次、地方自治体でも電子入札が導入されていく見通しです。国土交通省では、2010年までに地方自治体発注分も含めてすべての公共工事の電子化を目指しています。しかし、地方自治体側には地元の事業者に発注したいなどの個別事情もあり、どの程度のスピードで広がるかは現段階では明らかではありません。

 実際には、こうした国が主導する取り組みに先行して、一部自治体が電子調達を実施してきました。横須賀市では、1999年4月にインターネット上で入札情報を公開し、2001年10月には、入札も含めた全面的な電子化を独自システムで実施しました。

 その結果、入札参加企業が増加し、公共事業費の削減などの成果をあげています。横須賀市では、電子調達システムの認証・公証システムをASP化して、他の自治体も共同利用できるようにすることによって、コスト削減を目指しています。2002年6月からは、山口県下関市が横須賀方式の導入に踏み切りました。

 建設工事以外の一般の物品調達についても電子入札のシステムが開発され、総務省では、従来の対面での入札・改札に加えて、電子入札・開札が既に実施されています。2003年度までの導入を目標として他の省庁にも順次導入される予定です。これによって、ノート、鉛筆の類まで電子調達が行われることになり、地方自治体に物品納入している中小事業者も含めて、事業者側のIT活用も急速に進展するでしょう。

入札のアクセス料やカタログ登録料を企業が支払う

 海外に目を転じると、電子政府先進国のひとつ、米国では、連邦政府が構築した統合調達ポータルサイト「FedBizOpps」が有名です。そこでは、連邦政府の各機関が実施する2万5000ドル以上の調達情報すべてにワンストップでアクセスできます。ほぼすべての連邦政府機関が調達情報をインターネットで提供し、入札を受け付けています。

 企業はFedBizOpps上で事業者登録した上で、物品・サービスの内容や金額別に整理された調達情報をEメールで受信することができます。また公示日、調達内容、対象業者などから希望案件を検索することも可能です。既に9万社以上が事業者登録しています。

 また、州レベルでも電子調達が広がっており、中でもメリーランド州のEモール「eMaryland M@rketplace」は各方面から高い評価を受けています。このシステムには2つの仕組みがあります。

 ひとつは企業が「eMaryland M@rketplace」に登録してIDとパスワードを取得し、行政機関などからの発注情報にアクセスして、入札に参加する方法です。企業は発注情報へのアクセス料として、年間150ドル(追加で75ドル支払うと、自社に関連する案件が公示されると同時に、eメールで通知してもらえるプレミアムサービスも用意)を支払います。

 もう一つの方法は、企業が電子カタログを作成して、「eMaryland M@rketplace」に掲載し、行政機関はそれらの中から希望する商品を発注する方法です。企業は受注するごとに手数料として3.5ドルを支払います。アクセス料や手数料は、「eMaryland M@rketplace」の運営費用として使われています。