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日立総合計画研究所・編

 行政評価()とは、行政の政策の策定と実行のプロセスに、民間企業の改革ノウハウである目標管理の考え方を取り入れて、政府・自治体の予算の効率化や、行政の仕事の生産性向上を進めようという仕組みです。

 現在、中央省庁のみならず、地方自治体も多額の財政赤字を抱えており、行政がより一層の効率化を進めて実質的な成果を上げるために、行政評価の導入が広まっています。中央省庁では、2001年(平成13年)6月に「行政機関が行う政策の評価に関する法律」が制定され導入が義務付けられました。

 行政評価のおおまかな流れを見てみましょう。政策の策定と実行のプロセスのサイクルは、以下のようになります。

【1】 社会のニーズの中で、どれを検討すべき政策として取り上げるかという「課題設定」
【2】 複数の案の中から実施すべき政策を選択する「政策決定」
【3】 決定された政策を遂行する「政策実施」
【4】 政策を終了する「政策終結」と進み、このように実行された政策が実際にもたらした効果を検討し、新たなニーズをくみ上げた上で、次の政策の策定と実行
 
 これら各々のプロセスにおいて、効率性や有効性の観点から、
    (1)ニーズの把握、課題の設定は適切か?
    (2)代替案に比べて適切な政策が選択されているか?
    (3)政策の意図・計画は正しく理解され、適切に遂行されているか?
    (4)政策は適切な効果を上げることができたか?
 といったチェックを行い、必要であれば改善を提案していくのが行政評価です。また、担当職員の作業負担を軽減しながら、より精度の高い行政評価を実施するにはITの活用が不可欠です。

 さらに、行政評価の導入による目的設定のプロセス、評価のプロセス、そして結果の解釈のプロセスをすべて公開することにより、行政の流れ、特に予算編成と政策決定の仕組みがオープンになり、国民への情報公開が進展すると考えられます。こうした情報をホームページで公開することも進められており、例えば中央省庁では評価結果は各省庁ごとにホームページで公表されることになっています。

 また、国民からの問い合わせに応じる「政策評価情報の所在案内窓口」も全国に開設しました。

地方自治体でも増える行政評価の試み

 地方自治体でも様々な行政評価の試みが展開されています(国土交通省日本評価学会のリンク集など参照)。

 例えば、三重県では、業務の効率化、資源配分の適正化を重点にいち早く導入を進めており、1996年(平成8年)から「事務事業評価システム」をスタートさせています。そこでは総合計画に従い、すべての事務・事業を“政策—施策—事務・事業”の3層に体系的に整理し、事務・事業の位置づけや貢献度を明確にし、目的の達成度を示す成果指標を設定して、個々の事務・事業の必要性と期待される効果について評価・公表をしています。さらに、評価結果は予算、人件費といったコストにも反映させて資源配分の見直しにも繋げています。

 また静岡県では、行政評価を行政システム改革の中核にとらえています。庁内の組織単位に、業務の目的、内容、手段、達成状況を客観的に整理した管理ツールである「業務棚卸表」を作成・公開しています。さらに、目標を設定してその実現のために管理指標を活用する「目的指向型行政運営」のツールとして、「業務棚卸表」を活用しています。この「業務棚卸表」に基づき、フラットで小規模な組織に再編し意思決定の迅速化に努めています。

 このように、行政評価は予算効率化による財政再建への寄与だけでなく、主体的な政策形成や説明責任の遂行にも重要な役割を果しています。さらに、今後、分析の精緻化や情報データベースの活用拡大なども可能であり、行政評価は進化を続けるものと考えられます。

 「行政評価」は「政策評価」と言われることもある。ただし、「政策評価」いう言葉は定義や使い方が統一されておらず、「国や地方自治体などの行政機関が行う、あらゆる活動と評価する」と包括的に定義する場合もあれば、行政の仕事を政策レベル、施策レベル、事務・事業レベルの3層に分けて、政策レベルの評価のみを「政策評価」とする場合もある。一方、「行政評価」は「国や地方自治体などの行政機関が行うあらゆる活動と評価する」と定義されるのが一般的となっている。