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  ダーレル・ウェスト氏
 

ダーレル・ウェスト (Darrell West)

米国ブラウン大学政治学部教授
同大学トーブマン公共政策センター所長

オハイオ州立マイアミ大学卒業。インディアナ大学・大学院で博士課程(政治学)を修了。現在、ブラウン大学政治学部教授およびトーブマン公共政策センター所長を務める。専門は、アメリカ政治、マスメディア論、選挙、そしてテクノロジー。世論、メディア、選挙をテーマとして多数の著作がある。自身のウェブサイト(http://www.insidepolitics.org)でも政治分析や意見表明を積極的に行なっている。


 ブラウン大学では、今年で4回目となる米国の連邦政府および州政府ウェブサイトの調査(State/Federal E-Government, 2003)を実施した。

 政府系サイトでは、サービス提供へと重点が移ってきている。当然ながら、この方向で顕著な進歩が見られるが、まだまだ課題は多い。今年の調査では、全サイトの44%がオンライン上で完結できる(申請書がダウンロードできるだけでは、オンライン・サービスとは言えない)何らかの行政サービスを提供している。その比率は2000年の調査時の倍になった。サービスの内容には、出生証明や死亡証明の申し込み、苦情の申し立て、納税、免許更新、宿泊施設やキャンプ場の予約、車両登録の更新などが挙げられる。

 これから力を注がねばならない分野としては、まずプライバシー・ポリシーやセキュリティ・ポリシーがある。それにアクセシビリティの問題として、英語以外の言語での情報提供や、障害者への対応が挙げられる。プライバシ・ポリシーを明示しているサイトは徐々に増えてはいるが全体の41%、セキュリティ・ポリシーについては27%に留まっている。

■州政府の総合ランキングTOP5
順位
(昨年の順位)
得点
(100点満点)
1(24) マサチューセッツ 46.3
2(6) テキサス 43.0
3(12) インディアナ 42.4
4(1) テネシー 41.4
5(3) カリフォーニア 41.1
6(19) ミシガン 40.6
7(5) ペンシルバニア 40.5
7(11) ニューヨーク 40.5
9(13) フロリダ 40.3
10(44) ケンタッキー 40.0
※ 調査の対象になったのは、総数1663の政府機関サイト(連邦および州政府)である。

■連邦政府機関の総合ランキングTOP5
順位
(昨年の順位)
政府機関 得点
(100点満点)
1(7) FirstGov(政府ポータル) 84
2(1) 連邦通信委員会(FCC) 73
3(6) ソーシャル・セキュリティ監督庁 69
4(9) IRS(国税庁) 68
4(18) 議会図書館 68
4(17) ポースタル・サービス(郵便) 68
※ 調査の対象になったのは、総数1663の政府機関サイト(連邦および州政府)である。

 2000年に初めて調査を行ったときは、評価項目などの決定に頭を悩ましたが、2回目以降はマイナーチェンジなので、スムースに調査が実施できるようになった。

 今回の調査の特徴は、アクセスの内容に一歩踏み込み、「リーダビリティ(読みやすさ)」を新たに評価項目に加えたことにある。また、「障害者へのアクセス」も重要項目の一つにした。

 「リーダビリティ」は、アクセスの容易さを高める重要な要素である。これはオンライン化であるとか、ハイテクといった問題ではない。問題は、提供する情報が「利用者の理解できるような文章で書かれているかどうか」である。

 残念ながら、現時点において米国の政府系サイトの表現は、一般利用者の読解レベルを超えて難解であることが判明した。米国民の半分は、読解力が中学2年生かそれ以下のレベルと言われているが、多くの政府系サイト(全体の3分の2)の表現レベルは、高校2年生かそれ以上のレベルになっている。市民の理解力レベルを承知したうえで、分かりやすい表現に変えてゆく作業が求められる。人的資源が必要になるのでお金のかかる課題ではあるが……。

 ちなみに、今回の調査では、国防総省が使っている標準的な文章難解度解析ツールであるフレッシュ=キンケード・テスト(Flesch-Kincaid test)を使った。また、障害者アクセスについては、「ボビー」(Bobby)サービスを調査時に実際に使い、政府系サイトの視覚障害と聴覚障害への対応をチェックした。

 調査でこのようにアクセシビリティを重視したのは、電子政府の目標は市民による利用を高めることだからだ。そのためにはまず、政府系のWebサイトは分かりやすく使いやすいものでなくてはならないのである。

 

<参考>第3回 世界電子政府サイト調査

 ブラウン大学では世界各国の電子政府サイトの調査(Global E-Government, 2003)も実施している。今年で3回目となるこの調査は、198カ国の中央政府を中心とする2166サイトを対象に実施した。米国、カナダを抑えてシンガポールが第1位となった。日本は23位。

■政府の総合ランキングTOP30
順位 得点 順位 得点
1 シンガポール 46.3 13 デンマーク 35.5
2 米国 45.3 17 モルジブ 35.2
3 カナダ 42.4 18 セントルシア 35.0
4 オーストラリア 41.5 19 香港 34.5
5 台湾 41.3 20 ドイツ 34.4
6 トルコ 38.3 21 オランダ 34.3
7 英国 37.7 21 アイスランド 34.3
8 マレーシア 36.7 23 日本 34.2
9 バチカン 36.5 24 タジキスタン 34.0
10 オーストリア 36.0 24 ベルギー 34.0
11 スイス 35.9 26 コロンビア 33.9
11 中国 35.9 27 チェコ 33.8
13 ニュージーランド 35.5 27 フランス 33.8
13 フィンランド 35.5 27 バーレーン 33.8
13 フィリピン 35.5 30 メキシコ 33.7
※ 得点は100点満点中のものである。

(インタビュー・構成:石川幸憲=ジャーナリスト)