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東芝が参考展示したカード利用者を顔で確認するマルチメディア端末。 |
■電子マネー関連
つい先日、全日空がマイレージカードにためたマイルを電子マネーに変換するサービスを開始して話題を呼んだように、ここに来て電子マネーサービスが広がりを見せ始めている。会場では、ソニーの非接触型ICカード「FeliCa」や、ビットワレットの電子マネー「Edy」など、おなじみのカードサービスがあちこちで見られた。富士電機冷機は、Edy対応店頭端末、自動販売機のほか、非接触ICリストバンドなどを並べていた。また、東京京装コンピュータは「食堂楽」という食器裏にRFIDを付けることでトレーごと置くだけで一括精算できるシステムを出展した。これもEdy対応が“売り”の一つ。
同分野でライバルとしてしばしば名前の挙がるNTTコミュニケーションズは、セーフティパス(ICカードで高セキュリティを確保した認証・接続サービス)を使った電子チケットシステムを展示していた。
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電子マネーが利用できる全日空カード | 富士電機冷機の展示 |
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東京京装コンピュータ「食堂楽」 | NTTコミュニケーションズ・電子チケットシステム端末 |
■大手印刷会社の動向
カードの印刷・製造だけでなく、ICカードソリューションの提供にも強みを見せる大手印刷各社の展示は、ぜひチェックしておきたいところだ。大日本印刷は、「ユビネット」なる携帯型多機能UIM-ICカードリーダライタを披露。指紋認証機能つきで、本人確認や決済などに使えるICカードを格納したもの。この手のUSBキーは、他でもあちこちで展示されていた。
凸版印刷は発表以来はじめて、電子ペーパー付きICカードを展示。同時に液晶やLED付きのICカードも展示していた。共同印刷が非接触ICチップと接触型ICチップ、磁気ストライプなどを1枚に入れたハイブリッドICカードなどを展示していたことは言うまでもない。
そのほか、凸版印刷と共同印刷は住基ネット関連のカード発行機を展示していた。印刷大手各社の自治体向けセールスは、既に各地で展開されている。
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指紋認証付きのカードリーダライタ「ユビネット端末」(大日本印刷) | 共同印刷による携帯電話用SIMカード。実際にカードで動作させながらPC上でプログラミングができる |
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電子ペーパー付きICカード(左)とディスプレイ付きICカード(凸版印刷)。共に用途は電子マネーやマルチカードの機能表示などが考えられてはいるが、まだ探索中。 |
■自治体向けシステム
東芝ソシオシステムズは健康保険証・診察券ICカードを利用した統合簡易医療システム「TOMIC」を出展していた。健康保険証の資格審査、データ管理、診療支援機能などを持つほか、企業向けなので個人負担金のクレジット徴収などが可能だ。
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東芝ソシオシステムズの「TOMIC」とICカードの健康保険証。 |
チェックポイントシステムジャパンでは、非接触ICタグを使った「インテリジェント・ライブラリー・システム」を展示。従来のバーコードを置き換えたもので、図書の貸し出し返却、無断持ち出し防止などに使う。複数図書のデータを非接触で読みとることができるため、配架状態のまま蔵書点検ができる点がバーコードとの違いだ。九州大学付属図書館、電通図書館などで活用されているという。同様のコンセプト商品は他社でも展示されていた。書籍はデモンストレーションしやすい商品らしい。
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チェックポイントシステムジャパンの「インテリジェント・ライブラリー・システム」の読みとりシーン(左)。書架にはこんなタグが貼られている(右)。 |
筆者紹介 森山和道(もりやま・かずみち) サイエンスライター。NHKを経て1997年からフリーランス。『日経サイエンス』、『月刊アスキー』等で科学書の書評を担当するほか、『中央公論』などで取材記事を執筆。インターネット上では科学者へのインタビューをメールマガジン『NetScience Interview Mail』で配信している。 個人ホームページ:http://moriyama.com/ |