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「日経パソコン 自治体情報化実態調査 中間報告(アクセシビリティ)」
渡辺洋之
日経パソコン編集長

渡辺洋之 日経パソコン編集長

渡辺洋之 日経パソコン編集長

 「日経パソコン」では、2000年より地方自治体へのアンケートをもとにポイントを算出した「e都市ランキング」を実施している。市区町村3209自治体を対象に行った2003年度の集計結果は、9月1日号に「e都市ランキング2003」として掲載される予定となっている。今回の会議では、集計中の「e都市ランキング」アンケートを元に、「アクセシビリティ」と「セキュリティにテーマを絞っての現状報告が行われた。

 渡辺編集長は、まずアクセシビリティ(使いやすさ)が満たされていないホームページの事例を3点紹介した。

【事例1】 読み上げソフトに未対応
  例えば7月1日を「7/1」と表記すると、視覚障害者を中心に使われている「読み上げソフト」では、「いちぶんのなな」と読み上げられてしまう。

【事例2】 色だけで内容を説明
 カレンダーに「赤字は休館日です」と色を変えて表示しても、色覚障害者やモノクロディスプレイ利用者は内容を把握しにくい。またモノクロでプリントアウトした場合にも同様である。

「赤字は休館日です」として赤字で表現すると、色覚障害者やモノクロディスプレイ利用者は内容を把握しにくい(右画像は左画像をモノクロにしたもの。色の区別が付かなくなっていることが分かる)。

【事例3】 PDFファイルだけで情報を提供
 「いずれも大きな労力や費用をかけずに対応できるはず」とした上で、渡辺編集長は取材の経験から「障害者や高齢者、外国人にとっては、自治体からの情報がライフラインとなっている」と指摘。アクセシビリティの重要性を説いた。

■ガイドライン作成の自治体はわずか6.3%

 この点を踏まえて、「アクセシビリティガイドラインの作成状況」と「アクセシビリティ対策の現状」についてのアンケート集計中間報告へと続けた。

 まず、アクセシビリティガイドラインを作成している自治体が6.3%に過ぎないという現状を報告した。実際にガイドラインを作成していなくても、担当者が気を配っている例もあるとしながらも、「組織としてアクセシビリティを徹底しているかと言われれば、まだまだと言わざるをえない」現状であることを問題とした。

 また自治体の規模別に、アクセシビリティガイドライン作成状況を見るために、「市だけ」「村だけ」で集計すると、作成している「市」は19.2%、「村」は1.8%と開きがあることを指摘。規模が小さい自治体では、ガイドライン作成がよりいっそう進んでいない実体を明らかにした。

 「アクセシビリティ対策の現状」では、作成したホームページをページ読み上げソフトで確認している自治体が、わずか4%に過ぎないことを大きな問題とした。「数千円で購入できる読み上げソフトもあるので、ぜひ対応してほしい」と会議参加者に呼びかけた。


横須賀市のサイトのトップページ。これとは別にFlash未使用バージョン(下)も用意。

  続いてアクセシビリティ向上のための例として、横須賀市と秋田市のホームページを紹介した。

  横須賀市ではホームページにFlashを利用しているが、読み上げソフトが対応していないなどの課題もあるため、Flash未使用のページも別途用意していることを紹介。

  一方で、「アクセシビリティ確保を意識しすぎると、現場で情報更新が消極的になる傾向がある」ことを指摘、その対策例として秋田市のケースを紹介した。

 秋田市では、各課のWebページを1日に2回自動更新しているが、その更新情報を情報政策課が3日以内にチェックすることで、情報更新とアクセシビリティを両立しているという。また、まずアクセシビリティの考え方やガイドラインについて職員研修も実施している。

 渡辺編集長はアクセシビリティ対策のポイントとして
  1. ガイドラインの作成と職員への研修
  2. 業務フローを見直して職員の負担を減らす
  3. 適切な見出しや分かりやすい文章も、アクセシビリティ対策
という3点を指摘。特に、適切な見出しや文章を作成することの重要性について、「わかりにくい情報は、アップされていないのも同じ」と強調した。

 最後に、アクセシビリティを確保するための具体的な対策として「このフォームで作成すれば大丈夫」というテンプレートを作成することと、総務省が8月に配布予定のチェックツールによる確認の2点を挙げ、セッションを締めくくった。


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