PR
「アクセシビリティを高める電子自治体の取組み~安心・便利・元気な社会を目指して~」
大澤隆男
日立製作所 公共システム事業部 電子行政事業企画本部 本部長

  大澤隆男氏はまず、現在の自治体はバリアを抱えている、という説明からセッションを開始した。“バリア”とはつまり、以下のような制約のことである。
  • 時間の制約
      …平日は役所に行けない。窓口で待たされる時間が長い
  • 場所の制約
      …役所が遠いので行くのが大変。本籍地でなくても申請できないものか
  • 機会の制約
      …行政に意見を出す機会が少ない。施設予約が面倒
  そして、これらのバリアは「電子自治体によって解消できる」としたうえで、さらに電子自治体の整備が進むことによって
  • 身体的、感覚的な制約 …視覚障害、聴覚障害など
  • 知識的な制約 …デジタルデバイド
  • 行政・地域への積極的参画の機会に対する制約
の3点が解消可能であるとした。

■電子自治体におけるアクセシビリティの課題

大澤隆男氏

大澤隆男氏

   続けて大澤氏は、電子自治体の進展で解消が可能な3つのバリアそれぞれについて説明を加えた。

  まずは、「身体的、感覚的な制約」について。大澤氏は、同社が製品開発や研究などのために行っているアクセシビリティの検証について紹介した。プレゼンテーション映像を通じて、全盲者や弱視者が不便を強いられている現状や色弱者に不向きな色使い、さらには、銀行ATMのガイダンス音を例に聴覚障害者にとって聞き取りにくい音声など示し、障害者のニーズを分析してバリアを排除していかなくてはならないと説明。さらに、今後の身体障害者や高齢者の人口推移予測と合わせて「健常者が多数派でなくなる」と指摘し、アクセシビリティ向上の重要性を説いた。

 「知識的な制約」に関しては、パソコンが高機能化してきたことで操作がこれまで以上に難解になってきた点を指摘。メーカーにとっては、利用者が思い描く操作系(メンタルモデル)にあったインタフェース開発の必要性、ユーザーが操作に困った際のヘルプ機能の充実が対処法となると説明した。  「行政・地域への積極的参画の機会に対する制約」について、大澤氏は、地域に密着したライフスタイルを実現したいというニーズ(NPO、ボランティア、町内会など)、行政とのパートナーシップを大切にしたいというニーズ(行政への住民参画、協働など)がありながら、忙しいなどの理由で参画できなかった層の存在を示し、「新しいタイプのバリア」と解説した。

 続けて大澤氏は、ロナルド・メイス教授の提唱した「ユニバーサルデザイン」の浸透が重要であるとし、高齢者・障害者を一般ユーザーと区別して考えるのではなく、一人でも多くの人が使えるような製品やサービスを提供する必要性を説いた。国内では、大阪市が独自にユニバーサルデザインの考え方を示していることを紹介。また国レベルでも、経済産業省と総務省のアクセシビリティ指針を一体化し、国際標準との整合性も加味したJIS規格策定の動きがあることにも触れ、海外で先に高まった「ユニバーサルデザイン」が国内でも浸透してきつつある状況を報告した。


LINE