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「電子自治体のIT基盤について」
高橋守
日本オラクル 通信・公共インダストリー本部 通信・公共SC部
テクニカルマネジャー

高橋守氏
 「電子自治体は全体最適を求められたアーキテクチャを必要としている時期だ」──高橋氏はセッションの冒頭でこう語った。

 その上で、システム構築における課題と対応策に言及。昨年末のITアソシエイト協議会の指摘では、電子自治体における問題点として「ベンダー依存」「システム統合の難しさ」「特定の人材に頼っており、組織として機能していない」という3点が挙げられていたが、高橋氏はさらに次の6点を現状の課題とした。
  1. コスト
      …導入時だけでなく、特に運用時にも多大な負担がかかる
  2. 相互接続性
      …縦割りシステムにより、セクション間での情報共有がなされていない
  3. システムのブラックボックス化
      …官側でのデータ活用が困難
  4. セキュリティの確保
      …セキュリティ対応コストや技術的な負担増
  5. 入札仕様書の負担
      …最新技術に付いていく労力が負担となる
  6. 地場SIの活用
      …地元経済の活性化、地域の人材育成
  これらの課題を解決していくためには「調達側の組織体制の強化」と「個別業務後とのシステム構築ではなく、全体最適な思想に基づくアーキテクチャ策定」が必要とし、前者は「CIOおよびCIO補佐官の任命」、後者には「EA(エンタープライズアーキテクチャ)の策定」を具体策として挙げた。

■全体最適のための考え方であるEAを支える共通IT基盤

 高橋氏は「EAとは重複投資の排除、共用の実現、システム連携・統合の実現を目的とした、全体最適のための考え方であり、言ってみれば、組織の業務やシステムを円滑に運営するための“全体設計図”に相当する」と、その概念を解説。「さらに具体的に言えば、縦割りだけで構築されているシステムではなく、横(=他部署)との間で共有できる情報は利用して、重複を除外するという考え方である」と続けた。

 そして「EAを支える技術体系は、標準化・共通化すべき」という考えを示し、特に「データを格納するデータベースサーバ-と、業務を実行するアプリケーションサーバ-の標準化・共通基盤化が重要」と強調した。

  ここで高橋氏は、冒頭に挙げた6点の課題に対応させて、共通IT基盤の期待効果を提示した。
  1. コスト
      …オープンな仕様による競争原理で、導入コストを削減。重複の排除による効率化。パッチ適用や契約管理などを含む、運用管理の効率化
  2. 相互接続性
      …単一製品とオープンな技術による、システム連携の実現
  3. システムのブラックボックス化
      …ノウハウの蓄積により解消
  4. セキュリティの確保
      …一貫したセキュリティ対策
  5. 入札仕様書の負担
      …ノウハウの蓄積により負荷削減
  6. 地場SIの活用
      …オープンな仕様による競争原理

■電子政府に求められる共通IT基盤の7要件

 続けて高橋氏は、電子政府に求められる共通IT基盤の要件として、次の7点を提示した。
  1. 総合(網羅)性
      …単一の製品で、必要な機能がすべて提供されていること
  2. オープン性
      …標準技術を使用していること
  3. 拡張性
      …利用数、データ量の増加に速やかに対応できること
  4. 可用性
      …24時間365日のサービス提供が可能なこと
  5. 連携性
      …他システムとの連携が容易なこと
  6. 安全性
      …内部漏洩を含めた、総合的なセキュリティ対策ができること
  7. マーケットシェア
      …実績があり、多くの技術者がいること
  さらに、iDC(インターネットデータセンター)共同利用型のモデルについても言及。iDCを設置していても自治体単位のデータベースとアプリケーションを用意するのではなく、サーバーを統合して、単一のデータベースと単一のアプリケーションを利用するのが、これからの共同利用型のモデルという考えを示した。

 高橋氏は、「EAを策定して共通IT基盤を構築すること」こそが、コスト効率に優れた全体最適なシステム構築を可能にする、としてセッションをまとめた。


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