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■ボランティア同然でもITの専門家は集まる

深谷守氏
志木市民委員会
IT部会部会長
(前・志木市
情報システム
検討委員会会長)
深谷守氏
半澤幸雄氏
志木市情報システム
検討委員会会長
兼志木市民委員会
IT部会部会員
半澤幸雄氏

 ボランティアと同等の検討委員会に参加した理由として、前・情報システム検討委員会会長の深谷守氏(現・第2期市民委員会IT部会部会長)は、「初めは、市が適切に業務をしているのか見極めたかったことが動機でした」と語る。さらに「しかし実際には、職員は忙しい中、精一杯業務をこなしていることが分かりました。このような状況に少しでも貢献できることに意義を感じています」と、深谷前会長は続ける。

 IT部会や情報システム検討委員会には、一般の市民といえどもITに関するスキルと職歴を持つ専門家が顔をそろえている。深谷IT部会長は、専門学校で情報系講座の非常勤講師を務めている。現在の情報システム検討委員会の半澤幸雄会長(市民委員会IT部会の部会員も兼務)は、自動車メーカーでSE(システム・エンジニア)としての勤務経験を持ち、定年退職したばかりだ(注2)。ITベンダーのOBがメンバーである場合もあるので、委員同士がチェックしあい公正性を保っている。こうした人材が集まった裏には、市の職員が駅前で委員募集のチラシを配って告知をするなどの地道な努力があった。

(注2)半澤氏は、生涯学習を行う「志木いろは市民大学運営委員会」にも属して、市民のIT教育などにも取り組んでいる。

 一般的に、庁内のITに関する適切性を検証する場合、民間企業の外部コンサルタントに依頼する自治体が多い。しかし、よほど権限が強くなければ、独立性の高い教育委員会や特別会計の水道局、病院といった組織にまで切り込むことは難しいようだ。

 一方、志木市のように市民の立場であれば、教育委員会も水道局も病院も市の組織であり、庁内の組織の壁にはとらわれずチェックしやすい(図2)。さらに、当初から穂坂市長(当時)がIT部会や情報システム検討委員会に対して、学校などを含めた市に関するすべての組織を監査の対象にしてほしいという意向を示した。明確な市長の後ろ盾があったことも市民によるITガバナンスの成功に大きく寄与している。

■図2 情報システム検討委員会とIT部会(市民委員会)の監査対象範囲
図2 情報システム検討委員会とIT部会(市民委員会)の監査対象範囲