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■三重県は、インターネットを利用して住民の行政参加を進める「e-デモクラシー」など、行政のさまざまな情報化に積極的に取り組んでいる。8年間にわたって三重県政を率い、4月20日に退任する北川正恭知事による寄稿をお届けする。

※ この記事は『日経パソコン』2003年4月14日号に掲載されたものです。


三重県知事北川正恭氏
三重県知事  北川正恭氏

 そもそもインターネットは、きわめて平等なコミュニケーションツールである。 インターネットの匿名性は、危険な側面 を指摘されることが多いが、性別、年齢、社会的立場などに影響されず、自由なコミュニケーションを保障できるという点において、まさに民主的な議論のツールといえる。

 IT(情報技術)革命は、政治や経済も抜本的に変えなければこの国が立ち行かなくなることを証明し始めている。 これまで、旧来の社会的立場に依存した層が、特定の利益を主張し合い、配分し合うことで日本の「民主主義」は成り立ってきた。それが現代の社会の閉塞感をもたらしている。ITは、双方向で即時に情報を伝達させることで談合政治を打破し、日本の「民主主義」のあり方を決定的に変えつつある。

■「e-デモクラシー」を掲げて

 そのようななかで「地方自治」は、まさに民主主義の再生を実現する格好のフィールドである。本来「自治」とは、自ら努力する「生活者」が、身近な課題を主体的に議論し、自らが果たすべき役割を創り出すことを指す。

 一方、日本社会に乏しいといわれる「議論の文化」なしには、民主主義の再生はあり得ない。一定の安全性を保障したインターネット上の議論は、日本文化を変えていく可能性すら秘めている。当面の「e-デモクラシー」の役割は、情報公開による住民参画の拡大である。今まで、行政が独占していた情報を生活者に公開すれば、さまざまな行政の活動に参画できる生活者が増えてくる。そのためには、住民からの情報開示請求を受けて情報を提供する「情報公開」から、意思形成過程も含め、常に生活者と情報を共有できる状態へと変えていくことが必要だ。分かりやすいホームページによる情報提供はもとより、電子申請や電子投票、情報通信基盤(通信回線)の整備なども、すべて住民参画を拡大するためのe-デモクラシーの一環といえる。