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■住民基本台帳ネットワークシステム稼動の前提となる確固とした個人情報保護の法制化について(杉並区・全文)

14杉区区発第170号
平成14年10月11日

総務大臣  片山 虎之助 様
杉並区長 山田 宏


住民基本台帳ネットワークシステム稼動の前提となる
確固とした個人情報保護の法制化について(要望)


 初秋の候、ますますご清勝のことと拝察いたします。

 さて、住民基本台帳ネットワークシステムの稼動に当たり、本年7月10日に本職から、同月12日には区議会から、それぞれ政府に対しシステム稼動の延期を強く要望いたしました。また、当区のみならず、全国各地の自治体の首長や議会から施行延期を求める要望が行われました。

 しかし、これらの要望は受け入れられず、本年8月5日にシステムが稼動されました。これに対して、本区では、8月1日、「確固とした個人情報保護のための法制度が整備されるまでは区民の本人確認情報を東京都知事へ送信しない」ことを決定し、翌日、東京都にもデータの消去を求めましたが、もともと個人情報保護法制が未整備の状況での稼動は大変遺憾なことであり、強く抗議するものであります。

 政府には、改正住民基本台帳法附則第1条第2項に基づき、「個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずる」法的責任があり、今、国民は、個人情報保護法の整備、行政機関の情報管理意識の向上、万全のセキュリティ対策等に政府が全力を尽くすことを強く求めています。

 当区では、昭和53年10月以来(その後、昭和62年6月に全面改正)、個人情報保護条例に基づき、また、昭和62年6月からは情報公開・個人情報保護審議会条例に基づき、区による個人情報の収集利用等に厳しい制限を課してきております。

 このようなことから、本職は、今後の個人情報保護法制の検討に限っても、行政機関個人情報保護法の抜本強化や本人確認情報の利用事務の拡大規制等、別紙のような「確固とした個人情報保護」の法制化を図るよう強く要望いたします。

 また、民主主義社会においては、全ての国民に自己情報の自己コントロール権、IT社会の恩恵をどのように享受するかの選択権が保障されていなければなりません。この機会に早急に住民基本台帳法を再改正し、住民基本台帳ネットワークシステムへの参加、不参加を区民一人ひとりが選択することができる制度を確立するよう、あわせて要望します。



別紙

確固とした個人情報保護のための法制度に関する杉並区の考え方


 少なくとも、以下の事項を含む内容の法制を確立すること。

  1. 適正取得の規制やセンシティブ情報の収集禁止の導入、利用目的変更規制の厳格化、目的外利用・提供規制の厳格化、個人情報ファイル簿作成・公表義務の例外の限定、開示・訂正等の例外の限定、規制違反への罰則付科、裁判管轄など、行政機関個人情報保護法を抜本的に強化すること。(行政機関個人情報保護法関係)

  2. 住民基本台帳ネットワークに係る個人情報保護対策とセキュリティ対策の統括責任者又はその組織が法律によって明確にされるとともに、杉並区と同等の個人情報保護対策及びセキュリティ対策の基準が示されること。(住民基本台帳法関係)

  3. 住民基本台帳ネットワークに係る個人情報対策及びセキュリティ対策が実際に整備されていることが監査等によって明らかにされること。また、基準を守れない自治体をネットワークから排除すること。(住民基本台帳法関係)

  4. 住民基本台帳法別表に限定列挙された利用事務の拡大等、住民基本台帳ネットワークに関連する事項のうち、国民の権利に関する事項の変更は、住民基本台帳法によることが法定されること。また、こうした変更を行う際、改正の目的や必要性等を事前にチェックする第三者機関を設けること。(住民基本台帳法関係)

<参考資料>
杉並区個人情報保護条例(昭和61年12月1日条例第39号)
杉並区情報公開・個人情報保護審議会条例(昭和61年12月1日条例第41号)