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ただし、健康保険組合が厳しい財政状況にあることなどから、即時に一斉にカード化しなくてもよいことになっている。健康保険組合を管轄する厚生労働省によると、「それぞれの健康保険組合の準備が整い次第、順次カード化していけばよい。特に切り替えの期限は設けてはいない」(厚生労働省の保険局総務課 保険システム高度推進室の黒田進治氏)としている。
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豊田市で配布した、3種類のカード型健康保険証 |
なお、健康保険証をカード化するにあたり、どのようなカードを選ぶのかは、各健康保険組合に任されている。ICカードではなく普通のプラスチックカードや磁気カードでも構わない。 豊田市の場合、ICカードの利用端末は市内および周辺地域の医療機関、保険薬局など261カ所に配布した。患者の受診時に、医療機関に備え付けのカードリーダにICカードを読み取らせ、この保険証が有効かどうかのチェックを即座に行える機能など、医療機関にメリットのあるシステムをいくつか実験として行った。実験期間は2002年3月末までだったが、その後は3健康保険組合が継続して運営している。近く、3健康保険組合と地域の医師会が協力してつくる「豊田市ICカード被保険者証運営協議会」(仮称)が、今後のシステム運営を行うことを検討している。
■一人一枚のカードで便利に
ところで、カード化された健康保険証は以前の紙のものとどこが違うのか。![]() |
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豊田市市民部 保険年金課 課長 谷澤政義氏 |
健康保険組合や医療機関にとっては、ICカードとデータベースを連動させることで業務の効率化につながる。例えば、健康保険証の資格確認作業が医療機関の窓口でその場で即時に行えるようになる。システムは24時間動いているので、深夜に訪れる患者にも対応可能だ。例えば、トヨタ自動車の健康保険組合では、転記ミスや資格喪失後の健康保険証の利用といった誤請求が月間600件ほどあるという。従来は照会に時間がかかっていたため、期限切れなどで資格を喪失している人の確認が遅れがちで、このため後からの料金の再請求など面倒な作業が発生していた。ICカード化すれば、この無駄な作業をなくすことができるのだ。